兵庫から世界制覇を目指すイグナイターの挑戦 2006年コスモバルク以来、地方2頭目の海外GI勝利へ

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ダート短距離路線はやはりアメリカが強い

昨年のゴールデンシャヒーン勝ち馬シベリウス、今年も名手ライアン・ムーアとともに連覇を狙う 【写真:ロイター/アフロ】

 地方所属馬がドバイに挑戦するのは、2005年ドバイワールドカップのアジュディミツオー(船橋)6着以来、19年ぶり2頭目。もし、イグナイターが勝てば、地方所属馬による海外GI制覇は2006年シンガポール航空国際カップを制したコスモバルク(北海道)以来、18年ぶり2頭目、ドバイでのGI勝利は初めてという快挙となる。

 もちろん、そう簡単な道ではない。日本馬はこれまでの歴史の中でドバイワールドカップを2勝、ドバイシーマクラシックを5勝、ドバイターフを6勝とそれぞれ複数勝利を挙げる活躍だが、ドバイゴールデンシャヒーンは2着が3度あるものの勝ち馬はまだ1頭も出ていないのだ。

 日本馬にとっての鬼門……というようなオカルト的な理由ではなく、ダートのスプリント路線はやはり伝統的にダート競馬の本場アメリカが強い。ゴールデンシャヒーンが国際GIに昇格した2002年以降、ダートで実施された16回のうち実に12勝を米国馬が挙げている(2010年~14年はオールウェザーで実施)。今年も、昨年のゴールデンシャヒーン勝ち馬シベリウス、同4着のホプキンズ、米GIブリーダーズカップ・スプリント3着馬のナカトミなど、抜群のスピードを持つ米国馬が5頭参戦してきた。

JRAのリメイクは英国ブックメーカー1番人気タイ

JRAのリメイクは2月サウジの国際GIII戦を快勝、英国ブックメーカーでは1番人気タイの評価 【写真:REX/アフロ】

 一方、日本のJRA馬も強力な陣容だ。なにせ前哨戦とも言える2月サウジアラビアの国際GIIIリヤドダートスプリントを圧勝したのが栗東・新谷厩舎のリメイク。英国ブックメーカーの現時点オッズではシベリウス、ナカトミと並ぶ6.0倍の1番人気と高い評価を得ている。昨年はサウジ3着からドバイ5着だったが、勢い最高潮の今年は勝ち負けを十分に期待できると言っていい。

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 リメイクのほかにも、馬体重600kgに迫る巨漢の重賞2勝馬ドンフランキー、昨夏のJpnIII北海道スプリントカップの勝ち馬ケイアイドリーは上位進出を十分に狙える力を持った馬たちだ。

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 これら米国、JRAのライバル馬は確かに強力。しかしながら、イグナイターはJBCスプリントでリメイクを撃破しておりスピード、能力としてはまったくそん色なし。自慢のエンジン点火で頂点をつかめば、地方所属という枠を飛び越えて、日本調教馬として初めてゴールデンシャヒーンの勝ち馬になるという栄誉が待っている。

兵庫から「世界のイグナイター」へ

 昨年は大井のマンダリンヒーローが米国の3歳GIで僅差2着に好走し、大一番のケンタッキーダービーにも出走したことが大きなトピックとなった。さらに今年は新たな3歳ダート三冠レースが創設され、中距離、短距離、牝馬の各路線が整備されるなど地方競馬では今、新たな歴史が動き出そうとしている。そんな新時代の日本ダート競馬に弾みをつけるさらなるビッグインパクトを、イグナイターがドバイで起こすことを大いに期待したい。

 合言葉は「兵庫のイグナイター」から「世界のイグナイター」へ――。

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