「角田もリカルドも遅すぎる」批判に、角田裕毅が叩きつけた答え 昇格や移籍の可能性は?
角田のレッドブル昇格の可能性は?
レッドブルでドライバーの人事権を握るヘルムート・マルコ博士は、リカルドに対しては「予選もレースも遅すぎる」と、一貫して厳しい評価だ。一方で角田には、「予選は素晴らしいが、レースペースに改善の余地がある」と、注文をつけていた。しかし7位に入賞したオーストラリア後は、「一貫して完璧な走りだった」とベタ褒めだ。
ただしマルコ博士の発言には、かなりの政治的バイアスがかかっていると考えた方がいい。レッドブルの主導権をかけて、クリスチアン・ホーナー代表との対立が激化しているからだ。
ホーナー代表は女性従業員への不適切な行為を告発され、マルコ博士はそれに関する情報を外部に漏らしたとして、ともに一時はチーム追放の恐れもあった。しかしレッドブル本社の重役の仲裁で、事態はとりあえず収まった。
とはいえ何かあれば再燃必至で、そもそもマルコ博士はリカルドをマクラーレンからレッドブルに戻したホーナー代表の決定を面白く思っていない。逆にホーナー代表はマルコ博士が角田やローソンを推すことを気に入らず、最近では「レッドブル系以外のドライバーにも目を向ける必要がある」と、発言。オーストラリアで勝利したカルロス・サインツを指して、「どんな可能性も排除できない」と、語っている。
角田の理想の移籍先は……
であれば角田が今後さらに結果を残し続ければ、来季レッドブルに昇格できる可能性は決して皆無ではない。しかし今年になってからの角田自身の発言は、「絶対にレッドブルで走りたい」から、「レッドブルも含め、多くのチームに認められるドライバーになりたい」へと、微妙に軌道修正している。
その変化は、どこから来るのだろう。ひょっとすると角田本人は、2026年からホンダと組むアストンマーティンも、視野に入れはじめたのかもしれない。今は確かに優勝どころか、表彰台も狙えないレベルだ。しかし昨年来、チーム力は着実に上がっている。
そこにホンダが加われば、さらに進化が加速する可能性は十分にある。「チームとともに成長し、頂点を目指す」という意味では、実はこのチームが理想的な移籍先ではないだろうか。
(了)