プロ野球12球団戦力分析(2024)

充実した先発投手陣を擁するロッテ 絶対的レギュラー不在の野手陣は激しい競争に?

データスタジアム株式会社

佐藤都志也が正捕手に成長できるか

ロッテ野手:2023年ポジション別得点貢献度 【データスタジアム株式会社】

 捕手陣はリーグワーストの得点貢献を記録するなど、改善を必要としている状況だ。チーム最多の92試合でマスクをかぶった佐藤は、OPS.616と捕手としてはまずまずの成績を残したが、プロ入りからの4年間でいまひとつ殻を破りきれていない。続いて出場数の多かった田村龍弘は打撃面でリーグワーストの得点貢献を記録したほか、柿沼友哉や松川虎生といった他の捕手も打力に課題を抱えている。

 チームはキャッチャーを併用する起用法を採用しているが、結果として昨季は攻撃の得点貢献度が-12.6と大幅なマイナスになっていた。それだけに、「打てるキャッチャー」として期待される佐藤がレギュラーとして独り立ちできる状況が望ましい。もしくは、昨季中日と日本ハムとの間で成立した捕手のトレードが両チームで功を奏したように、外部からの補強も検討したいポジションといえるだろう。

内野手は大胆なコンバート。予想される流動的な起用

内野は大幅なコンバートに加えて、通算161本塁打を誇るソトが加入。激しいポジション争いが予想される 【写真は共同】

 内野では藤岡裕大が出塁率.389をマークするなど、ショートがチームトップの得点貢献を記録した。一方、セカンドのレギュラーである中村奨吾が打撃不振に陥った影響などもあり、内野手全体の得点貢献は伸び悩んだ。そうして迎えた今季は吉井監督が主力内野陣のコンバートを掲げ、藤岡が遊撃から二塁に、中村奨が二塁から三塁へとメインポジションを変える見込みだ。両者は内野陣の主力選手ではあるものの、ポジションが固定されていて起用法が限定的となってしまう側面があった。おそらく今回のコンバートは、内野手のポジションを流動的にすることで、なるべく好調な選手を起用したいという意図がうかがえる。ショートでは友杉篤輝と茶谷健太が守備面で好成績を残したこともあり、コンバートのタイミングとしても悪くないだろう。

 さらに、内野手ではオフにDeNAで通算161本塁打を放ったソトが加わった。安田尚憲や池田来翔、ドラフト1位ルーキーの上田希由翔をはじめ、内野は激しいポジション争いを繰り広げている。抜きんでた選手が不在の状況の中で、首脳陣が開幕からどのような選手起用を見せるかにも注目していきたいところだ。

激しい競争が続く外野手

 外野手では、センターが唯一となるプラスの貢献度を記録。その要因として大きかったのが、打撃面で好成績を残した和田康士朗と岡大海だ。和田は昨季の後半戦で打率.362と高打率をマーク。2021年に盗塁王を獲得するなど、走塁技術と守備力はリーグトップクラスの外野手であり、バッティング次第ではチームの中心選手として期待される1人だ。岡も自己最多となる7本塁打、OPS.788をマークするなど、攻撃面で大きな貢献を見せていた。一方、昨季は開幕から中堅のレギュラー格として出場していた藤原恭大は、今春のオープン戦で右膝を骨折。ここまで定位置奪取へアピールを続けていただけに、悔しい離脱となった。

 両翼のポジションでは、ベテランの角中勝也と巨人からトレードで加入した石川慎吾が活躍。石川慎は左投手を非常に得意としており、昨季はOPS.938と屈指の左キラーとして存在感を示した。そのほかでは、高卒5年目で初の規定打席に到達した山口航輝や、実績十分の荻野貴司、現役ドラフトで加入した愛斗などレギュラー候補が多く控える。22年の盗塁王で昨季は故障に苦しんだ高部瑛斗も今季は復帰する予定だ。とはいえ外野手も絶対的なレギュラーは不在であり、内野陣と同様に流動的な起用が予想されるだろう。また、強打の選手が集まる指名打者では、リーグ平均レベルの成績を収めていた。主に務めていたポランコは本塁打王に輝くなど、移籍1年目から自慢のパワーを見せつけた。今季も中軸として得点力アップをもたらす活躍が期待される。

2年目の吉井監督、今季は野手の起用法にも注目

 投手陣は佐々木をはじめ、吉井監督のもとで力をつけている投手が多く、戦力的には充実しつつある。ドラフトでも育成選手を含めて3名の高校生投手を獲得するなど、若手投手を育成する環境に自信を持っている様子がうかがえる。一方で、二木康太や唐川侑己といった長年活躍してきた投手たちが調子を落としており、ベテラン勢の奮起を期待したいところだ。

 そして、野手陣はほとんどのポジションでレギュラーが不在であり、今春のキャンプから競争が活発となっている。3連覇中のオリックスは、中嶋聡監督が複数の選手を巧みに使い分ける采配で結果を残した。就任2年目となる吉井監督は、采配面でどれだけ選手の能力を引き出すことができるか。投手運用だけでなく、野手陣の起用に今季は要注目だ。

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日本で唯一のスポーツデータ専門会社。 野球、サッカー、ラグビー等の試合データ分析・配信、ソフト開発などを手掛ける。

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