ドジャースキャンプレポート2024(毎週木曜日更新)

初回5失点KOの山本に、松井と大谷のMLB初対戦 激動の韓国開幕戦を終え、米国での“第2開幕”へ

丹羽政善

MLBの組織に学ぶ栗山英樹氏

3月13日、ドジャースのキャンプ地を訪れた栗山英樹氏(写真右)と握手を交わす大谷 【写真は共同】

 一つだけ書けることがあるとするなら、栗山さんはメジャーリーグの組織を学びつつ、球団の新たな方向性を模索していた。

 携わったもう一つの企画は、ドジャースのビジネス的な側面について。

 球団の親会社は、知られるように米資産運用会社「グッゲンハイム・パートナーズ」だ。ドジャースの買収時に「グッゲンハイム・ベースボール・マネージメント」を新たに組織し、グッゲンハイム・パートナーズの最高経営責任マーク・ウォルター氏、元NBA選手のマジック・ジョンソンらがトップに名を連ねている。

 そして傘下に、「エリシアン・パーク・ベンチャーズ」というベンチャー・キャピタルを抱える。基本的には別会社だが、その存在がユニークで、2000年代前半に日本で放送されていた「¥マネーの虎」のような性格を持つ。

 あの番組は、起業家たちが出資者にプレゼンをし、投資を募るというフレームワーク。同番組のフォーマットはその後、アメリカにも輸出され、「シャークタンク」という番組名で放送されている。

 同様に、エリシアン・パーク・ベンチャーズは、スポーツに関して新しいアイディアなどを持ったスタートアップ企業からアイディアを募り、面白いものには投資。それをいち早くドジャースで利用し、成功すれば他球団にもオープンにし、その企業が成長することでリターンを得るというスキームで莫大な利益をあげている。

 そこにはどんな戦略があるのか、深掘りした。もっとも、その取材日も栗山氏が訪米した13日と被ってしまったので、インタビューには立ち会えなかった。よって、どんな話が聞けたかは、放送を楽しみにしている。おそらく、仕組みそのものは、日本の球団が参考に出来るもの。一つのビジネスモデルとしても今後、注目していきたい。

 なお、今回のキャンプでは、NHK BSの人気番組「球辞苑」の取材にも関わった。テーマはアンダースロー、ナックルボール、併殺、ピッチクロックなど。大谷とその周辺は無視し、ひたすらマニアックなネタを掘り下げる。そこにブレはなかった。

 こちらは3月25日の放送を予定している。

 取材した内容がどう編集されたのかーー。こちらも楽しみにしている。

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著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

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