パナソニックの今季二冠を阻むのは、世界3位のサントリーか前年度王者のWD名古屋か? 2023-24 V1男子ファイナルステージ見どころ
連覇を目指すWD名古屋はキャプテンのクレクと戦う最後の舞台に
WD名古屋のエース高梨健太はV・レギュラーラウンド終盤で、クレク温存の際に「自分が決めるべく、トスを多く呼んだ」と頼もしい言葉 【VLPR-2023-062©JVL】
主力を担うは高梨の対角に山崎彰都、192cmの長身セッター永露元稀に、自身2度目のサーブレシーブ賞(サーブレシーブ成功率70.6%)を獲得したリベロの小川智大と旬な選手ばかり。そこにミドルブロッカーはベテランの傳田亮太やチーム最年長の近裕崇、ブロック力に長けた中国代表の王東宸(ワン・ドンチェン)が入り、キャプテンのバルトシュ・クレクがオポジットとしてポイントゲッターを務める。
そのクレクは2020-21シーズン得点王、2021-22シーズンスパイク賞、そして昨季の最高殊勲選手賞、と多大なる功績を残してきたが、今季限りでの退団を表明。このV・ファイナルステージが最後の舞台になる。V・ファイナルステージ進出を決めてからは、「ベストコンディションに持っていくため」(ヴァレリオ・バルドヴィン監督)に、クレクのほかレギュラー陣を温存するなど慎重に準備を進めた。リベンジ、連覇、さらには集大成、と様々な思いを抱いて、WD名古屋は東京の地にやってくる。
ブロックが武器の東レや飛躍のJT、注目選手擁する日鉄堺BZがジョーカー
クォーターファイナルのもう一つは、V・レギュラーラウンド4位のJT広島と同5位の日本製鉄堺ブレイザーズによるカード。直近3シーズンは負け越しが続いていたJT広島だが、今季は在籍2季目の江川(ジャン・チュアン)とアーロン・ラッセルの両外国籍選手が存在感を増したほか、移籍加入のセッター前田一誠やミドルブロッカー三輪大将らがジャンプアップの立役者となった。
対する日鉄堺BZはアメリカの強豪ハワイ大学から加入したルーキーの渡邉晃瑠が大ブレイク。竹元裕太郎、シャロン・バーノンエバンズらとともにブロック力が光った。だが、チームの懸念材料としてケガ人の多さやコンディション不良が響き、今年2月には6連敗。V・レギュラーラウンド最終日前日に、V・ファイナルステージ進出を決めることに成功した。いかに万全で臨めるか、敵は相手チームだけではない。
2024-25シーズンから新リーグがスタート
2024-25シーズンのSVリーグ参加チームは今年4月に決定され、また併行してコートレギュレーションなどが段階的に発表されている。
V1男子ではホーム&アウェーが定着したこともあり、各チームが主催するホームゲームでの興行に力を注ぐ様子が伺える。2022-23シーズンから装い新たにスタートした東京グレートベアーズはプロクラブとして新規軸を打ち出し、豪華な来場ゲストや斬新なイベント、チームの発信力を強化することでVリーグの最多入場観客者数8749名の新記録を樹立。東京GBを筆頭にパナソニックやWD名古屋、日鉄堺BZなどは会場でのアリーナDJや演出など、試合以外の面で工夫を凝らしている。観客動員によるチケットやグッズの収入は、事業の上でも重要な部分。SVリーグへ移行し、各チームにとってはこれまで以上に取り組んでいく必要があると言えそうだ。