元木大介が12球団のトピックスを〇×予想 巨人・菅野「抑え転向論」に見解は?

大利実

オリックス:山下舜平大が15勝以上を挙げる

元木氏の予想「〇」

オリックスの投手育成について「教えてほしいぐらい」と話す元木氏は、山下舜平大のさらなる成長を予想する 【写真は共同】

――昨年、高卒3年目で9勝を挙げた山下投手。今春には侍ジャパンにも選ばれ、次代のエース候補として注目を集めています。今季、15勝以上を挙げることはできるでしょうか?

「〇」ですね。山本由伸投手が抜けたことで、「由伸さんの分も俺がやってやる」という気持ちがあるはずです。球種はストレート、カーブ、フォークとまだ少ないですが、すべてが一級品に近く、特にストレートが素晴らしい。マウンドさばきを見ていると、度胸の良さも感じます。体力的な問題もなく、ローテを守ることもできるでしょう。

――オリックスは若いピッチャーがどんどん出てきますが、トレーニングが優れているのでしょうか?

 いや、わかりません。教えてほしいぐらいです(笑)。うらやましいですよ。全盛期のソフトバンクのような勢いを感じます。「この若手は誰?」と思うピッチャーでも、本当にいい球を投げるんですよね。由伸投手の穴は当然大きいですが、それを埋める若手がまたどんどん出てくると思います。

ロッテ:佐々木朗希が最優秀防御率のタイトルを獲得する

元木氏の予想「〇」

――早くもプロ入り5年目を迎えた佐々木投手。まだタイトルは獲得していませんが、今季、最優秀防御率獲得となるでしょうか?

 3年連続で「投手四冠」を獲得していた山本由伸投手がMLBに行ったので、最有力候補と見て間違いないでしょう。

――昨年は91イニングで防御率1.78でした。1点台でのタイトルもあり得ますか?

 1点台は難しいですかね。規定投球回(143イニング)を超えなければいけないことを考えると、いつも良いコンディションで投げられるとは限りません。まだ規定を超えた経験がありませんよね。疲れが溜まり、調子が悪い日も必ずある。2点台の前半ぐらいになるとは思います。それでも、立派な数字ですけどね。

――ベンチから見ていて、実際に投げているボールはどんなものでしょうか?

「えぐい!」の一言ですね。あのフォークを低めに決められたら、まず打てない。ぼくがバッターであれば、ストレート一本に絞って、フォークがきたらゴメンナサイ。ライト前ヒットで100点ですよ。

ソフトバンク:山川穂高が本塁打王を獲得する

元木氏は、FA移籍1年目の気が抜けない緊張感が山川穂高にとってプラスに働くと見ている 【写真は共同】

――昨年は17試合の出場で本塁打0本に終わった山川選手。ソフトバンク移籍1年目、2年ぶり4度目の本塁打王獲得はなるでしょうか?

「〇」です。ホームランを打つ技術に関しては、現役選手でトップクラス。さすがに昨年1年間悔しい想いをしたでしょうから、意地を見せると思います。オープン戦のバッティングを見ていると、昨年からバットを振り込み、キャンプも順調に過ごしてきたことがよくわかります。

――FA移籍1年目のプレッシャーはどの程度あると想像しますか?

 当然あるでしょうが、それが良い方向に働くと思っています。気が抜けないというか、気を張った状態でプレーができる。相当疲れるとは思いますが、その緊張感がプラスに出るのかなと。パ・リーグの投手はレベルが高いので、40本超えは難しいとは思いますが、30本後半は打つと予想します。

楽天:田中将大が10勝以上を挙げる

元木氏の予想「〇」

――NPB復帰4年目の田中投手。復帰後は4勝、9勝、7勝と挙げていますが、今季は二けた勝利となるでしょうか?

 たしか、日米通算200勝まであと3勝ですよね。200勝は春のうちに達成するでしょう。そのあとに勝てなくなると、周りから「大記録を達成してホッとしている」と言われかねないので、いつも以上に気を張って投げると予想します。

――さすがに若い頃と比べると、ピッチングスタイルが変わっていますが、今の田中投手の特徴はどう見ていますか?

 さまざまな経験を積んできたからこその、投球術を持っています。変化球でかわしたり、ずらしたり、ときにはツーシームで詰まらせたり、攻め幅が広い。長いイニングを投げられる体力もあるので、チームとしては非常にありがたい。ただ、9回を則本昂大投手が投げることは決まっていますが、その前の7回や8回を誰がつなぐのか。セットアッパーの安定感によっても、勝ち星は変わってくると思います。

西武:武内夏暉が新人王を獲得する

元木氏の予想「×」

――ドラフト1位指名で3球団が競合した國學院大出身の武内投手。新人王獲得となるでしょうか?

 映像で少し見た程度なので、あまり詳しいことは語れませんが、カープの床田寛樹投手に似たタイプだと感じました。球速ではなく、球のキレで勝負する左腕。勝つ左に共通しているのは、右のインコースを攻めながら、外に抜くボールを持っていること。その資質は十分に持っています。

――今季の新人王となると……。

 1年通してローテを守ることだけでも、ルーキーにはハードルが高い。勝利投手には、打線の援護も必要と考えると、二けた勝利にまでは届かないかなと思います。

万波中正が35本塁打以上を打つ

元木氏の予想「〇」

――プロ入り5年目の昨季、25本塁打を放ち、初めてオールスターにも選ばれました。さらなる進化を遂げて、35本以上打つことはできるでしょうか?

 昨年の感じが続いていけば、30本は打つでしょう。本拠地のエスコンフィールドが打者有利の球場であることを加味すると、プラス5本。「〇」にしましょう。

――2021年が5本、2022年が14本、2023年が25本と、順調に数字を伸ばしています。

 一軍のピッチャーの球に慣れてきたのが一番大きいですね。慣れてきたことで、打席で余裕が出てきた。あとは、新庄剛志監督との相性も良かったと思います。ホームベース手前のワンバウンドを振るクセがあった万波選手に対して、「2メートル手前のワンバウンドを振るから、せめて1メートル手前にしてくれ」と言ったそうです。伸び伸びプレーしたい今の若い選手に、非常に合っている言葉がけですよね。「絶対に振るなよ!」と言われていたら、ここまで成長できていなかったかもしれません。

企画構成:株式会社スリーライト

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著者プロフィール

1977年生まれ、横浜市出身。大学卒業後、スポーツライター事務所を経て独立。中学軟式野球、高校野球を中心に取材・執筆。著書に『高校野球界の監督がここまで明かす! 走塁技術の極意』『中学野球部の教科書』(カンゼン)、構成本に『仙台育英 日本一からの招待』(須江航著/カンゼン)などがある。現在ベースボール専門メディアFull-Count(https://full-count.jp/)で、神奈川の高校野球にまつわるコラムを随時執筆中。

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