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伝統の粘りで明治神宮制覇の星稜 選手たちは多彩、目立った「そろばん」

毎日新聞

チームの柱は歴戦の左腕

明治神宮大会で力投する星稜の佐宗翼投手 【北山夏帆撮影】

 昨秋の明治神宮大会を32年ぶりに制した。監督代行を経て就任1年目だった山下智将監督は「非力な選手が多く、優勝できるなんて思っていなかった」と振り返る。ただ、「試合ごとに成長した。神宮の決勝後、もう1試合やりたいと思ったくらい」とも。指揮官も驚くほどの成長曲線を描いた。

 2021年に全国2冠を達成した星稜中出身のメンバーが多くを占める。当時もエースの左腕・佐宗投手が大黒柱。最速143キロの直球には伸びがあり、スライダー、ツーシーム、カーブ、チェンジアップなど多彩な変化球を操り、制球力もある。1年夏、2年夏と2度甲子園でも登板し、経験も豊富だ。

 秋は佐宗投手より登板回が多かった2年生右腕・道本想投手も防御率1点台と安定感抜群。最速140キロの直球、120キロ台のスライダー、100キロ台のカーブを使った緩急自在の投球で打者をほんろうする。北信越大会では体調不良の佐宗投手に代わって投手陣をけん引した。

 攻撃は「打球を飛ばせる選手は去年のチームよりも少ないが、幅が広い」と山下監督。例年より練習でケース打撃を重視しており、エンドランや盗塁などバリエーション豊かな攻撃ができる。中心は芦硲選手、萩原獅士(れお)選手、服部航選手の中軸3人。スイングは力強く、3人とも秋は本塁打を放った。能美誠也選手ら下位も力はあり、3割2分のチーム打率以上の得点力を誇る。守備も中谷羽玖(はく)選手、吉田大吾選手ら二遊間を中心に安定し、走攻守すべて高いレベルにある。

狙うは紫紺の優勝旗ただ一つ

主将で中心打者の芦硲晃太選手 【三村政司撮影】

 昨夏の甲子園で初戦敗退後、数日間の練習オフ日を設けたが、現3年生は誰一人帰省せず、休まずに自主練習で汗を流した。副主将の竹下史紘選手は「2年連続で甲子園の初戦で負けた。全国で勝つために練習しかないという思いを共有していた」と強調する。この向上心こそ、秋王者の一番の強みだ。

 元日に石川県で発生した能登半島地震。さらに、新型コロナウイルスの部内での流行や大雪など、困難続きの冬だった。芦硲主将は「勇気と元気を与えられるかは分からないが、甲子園で一生懸命プレーする姿を見せたい」。苦境に立つ地元のため、狙うのは初優勝、紫紺の優勝旗ただ一つ。

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