伝統の粘りで明治神宮制覇の星稜 選手たちは多彩、目立った「そろばん」
明治神宮野球大会を制し、マウンドに集まって喜ぶ星稜の選手たち 【北山夏帆撮影】
伝統の粘りは今年も健在
チームを引っ張る芦硲(あしさこ)晃大主将はアンケートに、「どんなときでも先頭に立ち自分から行動すること」「自分の意見だけでなく周りの意見もしっかりと聞き入れること」を心がけてきたと回答した。ユニークな練習メニューを聞くと、ボート競技の動きで全身を鍛える「エルゴメーター」や「雪の中でのノック」を挙げる。「石川も雪が降るが、もっと降る北海道にある北海高校に雪の中でのいい練習を聞きたい」と向上心ものぞかせた。
元日の能登半島地震では、学校がある金沢市も震度5強を記録し、野球部の活動にも影響が出た。それでも芦硲主将は、今大会の優勝候補を「星稜です」と力を込めて記入した。「日本一になるための準備をしてきたから」。積み重ねた鍛錬と伝統の粘りで、歓喜の瞬間を被災地に届ける。
秋の日本一をつかんだ選手たちは多才
大会前に主催者が星稜の選手20人に実施した「将来の夢」のアンケート調査結果 【毎日新聞】
選手20人に過去の習い事を聞いたところ、特徴的だったのは、「そろばん」が5人いた点だ。水泳の12人に次ぐ人数で、神宮制覇の立役者となったエース・佐宗翼投手は6~12歳まで習っており、島田光選手は「そろばん三段」。級位や段位を持つ選手が多い。2021年の国の「経済センサス活動調査」によると、石川県は富山県に次いでそろばん教室の事業所数が多く、盛んな土地柄なことも影響していそうだ。
将来の夢では、芦硲主将ら10人がプロ野球選手と回答。プロ志望は明記していないものの、「野球人口を増やす」「野球でお金を稼ぐ」など野球に関わる夢を持つ選手も4人いた。
他校ではあまり見られない回答もあった。大会屈指の強打者・モイセエフ・ニキータ選手(豊川)を「僕の配球でおさえます」と意気込む捕手・河上涼太選手は、6歳からエレクトーンを習い、「世界一のアーティストをつくること」を夢見ている。