.600に迫る打率にOPSは驚異の1.667 大谷翔平の覚醒をサポートしたドライブライン・ベースボールの「ビッグ3」とは?
ドライブライン打者指導の「ビッグ3」
よって詳細は不明だが、投手としては、動作解析結果を元にメカニックを修正し、それぞれの球種の質を高めるピッチデザインを行ったことは、他の投手の例からも容易に推測できる。大谷本人がその過程でデータをベースとしたアプローチを受け入れたことは、ビル・ヘイゼルというドライブラインのピッチングコーディネーターの獲得をエンゼルスに促したことでも分かる。
ドライブラインにおいて打者に対する指導として有名なのは、①バットスピード、②スマッシュファクター(※1)、③スイングディシジョン(※2)という3要素。彼らはそれを「ビッグ3」 と呼ぶ。
※1スマッシュファクター:もともとはゴルフ用語。100マイルのヘッドスピードでボールの初速が150マイルならば、スマッシュファクターは1.50。野球の場合、計算式に球速も考慮され、数値が大きければ大きいほど、スイングスピードを効率的に打球に伝えていることになる。
【計算式】スマッシュファクター=1+(打球初速-バットスピード) / (球速+バットスピード)
※2スイングディシジョン:2ストライクまでは、スイングスピード、打球初速が出やすいコースに狙いを絞る。苦手なコースを克服することで、長所が失われる可能性があるので、そこはあえて追い求めない
スイングディシジョンについては解釈がやや難しいが、大谷は昨年打球の平均初速が他と比べて遅く、長打も少なかった、外角高めを克服。一方で、内角低めなど、もともと強いコースでも従来のデータを維持しており、ドライブラインの指導の想定を超えてしまった。
ビッグ3という指導方針は、大谷の成功によって他の選手にも受け入れられたが、こうなると、この理論にはまだまだ進化の余地があるといえそう。
6日のホワイトソックス戦で二盗を決めた大谷 【写真は共同】
試合後、フリーマンが、こんな話をした。
「きょう、(大谷のプレーで)一番すごかったのは、一塁からのタッチアップだ。あれは目立たないし、あまりみんな話をしないかもしれないけど、素晴らしいプレーだった。シーズンが始まったら、ああいうプレーが、勝利を導くかもしれない」
打撃だけではない。スピードだけではない。そんな細かいプレーにより、大谷はチームメートの信頼を得ている。