22歳の大型遊撃手、オリックス・紅林弘太郎 「肉体改造」と「同級生との誓い」で臨む新シーズン
越えるべき壁、憧れの選手、そして同級生との誓い
球界を代表するショートストップへ。様々な想いを背負いながら、紅林は日々、成長を続けている 【写真:スポーツナビ】
すごくうれしかったですし、これから先もずっと獲りたいとは思うんですけど、僕としてはゴールデングラブ賞の方が獲りたかった。源田さんと1票差(115票と114票)だったので(苦笑)。源田さんはWBCで怪我をしてしばらく出られない時期があったので、僕としてはチャンスだったんですけど……。高い壁ではあるんですけど、源田さんが元気なうちに僕がゴールデングラブ賞を獲れるようになりたいですね。それでこそ価値があると思います。
――子どもの頃からショートを守っていたのですか?
中学からですね。それまではピッチャーかキャッチャーでした。小さい頃から肩だけは自信があったんです。父が野球、母はソフトボールの経験者で、物心がついた頃にはもう、グローブをつけてキャッチボールをしていました。
――子どもの頃に憧れていた選手は?
坂本(勇人、巨人)さんです。僕、地元が静岡なんで、テレビは巨人戦しかやっていなかったということもありましたけど、とにかく坂本選手は華がありますよね。守備もそうですけど、やっぱりバッティングがすごい。ショートを守りながら毎年あれだけ打てるっていうのは誰もができることじゃない。プロになって対戦はしましたけど、ちょっと緊張しちゃって、まだちゃんと話をしたことはないんですよね(苦笑)
――他のスポーツもできそうですけど、野球以外で得意なものは?
静岡という土地柄もあって、サッカーは得意ですね。幼稚園の頃からチームに入って、小学2年ぐらいに野球の方に移ったんですけど、少しはできます。それに僕の同級生にサッカー選手がいるんですよ。今年、大卒で栃木SCに入った青島太一という選手です。幼稚園から小学校、中学校とずっと一緒で、クラスも同じだった時もあって、放課後とかもずっと遊んでいた仲なんです。
――同じ学校の同じ学年に野球とサッカーのプロ選手がいるっていうのはすごいですね。競技は違っても刺激を受けている?
そうですね。すごく刺激になっています。僕がプロに入る時は、スパイクとバットを交換して「お互い頑張ろう!」って誓い合ったりもした。僕は高卒でプロになりましたけど、向こうは大学4年間でしっかりと頑張ってプロになった。すごいと思います。今でもめちゃくちゃ仲が良くて、連絡も取り合って、励まし合っています。
とにかく「日本一奪還」を果たす
開幕シリーズで着用する特別ユニホームを披露する紅林。どのようなシーズンが待っているのだろうか 【写真は共同】
率直にうれしいですね。プロになってからのひとつの目標でしたし、選ばれたことで、プレミア12だったり、WBCだったり、そういう大会に自分も出たいと気持ちがより一層、強くなりました。
――今後、吉田正尚選手(レッドソックス)らとの共闘を期待しているオリックスファンも多いと思います。
そうなればうれしいですし、僕自身も楽しみですね。それに大谷(翔平、ドジャース)さんにも会って、一緒にプレーしてみたい。去年のWBCのインパクトもすごかったですし、実際にどんな感じなのか、間近で見てみたいです。
――そしてオリックスとしてはリーグ4連覇と日本一奪還を目指すシーズンになります。過去の他球団の戦いを見ても「4連覇」というのは非常に難しいミッションだと思いますが。
当然、難しさはあると思うんですけど、チームとして取り組まなきゃいけないことはハッキリしている。去年は(吉田)正尚さんが抜けて、今年は(山本)由伸さんが抜けてというところではありますけど、今のオリックスはみんなで、全員で戦うということができている。誰かが抜けても他の誰かが出てくる。試合中のミスとかもそうですけど、誰かがカバーするということができているので、そのチームの良さというのを今年も続けていければと思います。
――そのようなチーム作り、雰囲気作りというのは中嶋聡監督の力が大きいのでしょうか?
監督の力は大きいと思います。去年も、夏に森さんが肉離れで離脱した時、その直後は僕も含めてみんな気持ちが沈んでしまったんですけど、そこで監督が選手を集めてミーティングをして、「誰かがいなくなってもみんなでカバーしたらいい」という話をしてチームがまとまったんです。中嶋監督は、ここぞというタイミングで声をかけてくれる。僕たちも気持ち良くプレーできていると思いますね。
――オリックスには若手選手が次々と頭角を現して、物怖じすることなくすぐに活躍するというような空気感がありますね。
そう思います。監督がみんなにチャンスを与えていると思いますし、若い選手たちのモチベーションも高い。宇田川(優希)さんとか、育成入団からバリバリ主力で活躍している選手とか、いいお手本がたくさんいる。投手だったら平野(佳寿)さんや比嘉(幹貴)さん、野手だったら安達(了一)さん、ティー(T-岡田)さんと、上の年齢の方がすごくいい雰囲気を作ってくれるので、若手が伸び伸びとプレーできていると思います。
――チームが3連覇を果たした中で、ファンの盛り上がりもすごい。グラウンドに立つ選手として感じることは?
僕はプロ2年目(2021年)から一軍でたくさん試合に出させてもらって、最初の頃はスタンドにも空席が多くありましたけど、去年はほぼ満員だった。日本シリーズでもホームアドバンテージというのをものすごく感じました。今年の春季キャンプでも、ものすごくたくさんの人が来てくれていますし、本当にありがたいですね。やっぱりファンの力、応援があってこそだと思いますね。
――宮崎でのキャンプにも大勢のファンが訪れて、今年も楽しみですね。では最後に、改めて今季の意気込みをお願いします。
まず、僕個人としては、ちゃんと143試合、レギュラーで、ショートとして出場する。あんまり数字を言っちゃうと僕はダメなタイプなのでやめときますけど、ちゃんと怪我なく試合に出続けていれば、結果は付いてくると思います。そしてチームとしてはリーグ4連覇と日本一。去年、すごく悔しい思いをしたので、とにかく「日本一奪還」です。ファンの方も、熱い応援をよろしくお願いします。