相撲部屋潜入企画 お相撲さんの生活に迫る

宮城野部屋の朝稽古に密着!大相撲におけるトレーニングの意義とは? 元横綱・白鵬が考える稽古の在り方

飯塚さき

現役時と変わらぬ鋭い視線で稽古を見つめる宮城野親方 【スポーツナビ】

 華やかな大相撲の世界。日本人にとっては馴染みあるスポーツであり伝統文化のひとつだが、実際に力士たちが普段どのような暮らしをしているのか、実はあまり知られていないのではないだろうか。そこで、今回は元横綱・白鵬の宮城野親方が率いる宮城野部屋に潜入。師匠や所属する力士たちに話を聞き、生活の様子を紹介してもらった。(第1回/全4回)
 朝8時。東京都墨田区に位置する宮城野部屋では、活気ある朝稽古が始まる。現在の建物は、ハワイから来日し「ジェシー」の愛称で親しまれた、元関脇・高見山さんが創設した旧・東関部屋。玄関を入ってすぐ横には、高見山さんの大きな優勝額が、当時のまま飾られている。

 1階の稽古場に入ると、力士たちが黙々と体を動かしている。土俵を囲むように上がり座敷があり、鉄砲柱や大きな鏡、テレビモニターも設置されている。陽の光が差し込む、明るく開放的な稽古場だ。

週に1回の休みは「オーバーワークを防ぐため」

 宮城野親方いわく、取材を行ったこの日は相撲の稽古ではなく「筋トレの日」。通常の相撲部屋の稽古では、四股やすり足といった基礎運動から始まり、いわゆる実戦練習である「申し合い」や、胸を出す相手に何度もぶつかって押していく「ぶつかり稽古」をして、最後にストレッチや股割りなどをして終わるのが一般的だが、宮城野部屋の筋トレの日は、そういった相撲の稽古は行わないという。

「自分が現役のときは毎日同じように朝稽古していたけど、たまにこうしてやることを変えて、気持ちを変えていくというのかな。今日もつらいトレーニングメニューではあると思うんですが、環境を変えて気分転換するのは大事です。あと、オーバーワークはケガにもつながるので、週に1回は休ませるようにもしています。これも、自分が経験したことなのでね」

取材日は、上半身の筋トレの日。関取を目指す力士たちが各々と向き合いトレーニングに取り組んでいた 【スポーツナビ】

 1週間のうち、5日間は通常の朝稽古、土日のどちらかは休み、そして1日は筋トレのみの日になっているという宮城野部屋の稽古スケジュール。筋トレは隔週で上半身と下半身の日に分かれている。ダンベルや砂袋を持ったトレーニングだけでなく、2人ペアになってチューブで後ろに引っ張りながら前に走っていくトレーニングなど、相撲の実際の取組を意識した動きも見られた。これらのメニューは、すべて親方が現役の頃に取り組んでいたもの。トレーナーから教わったことを、弟子にも受け継いでいるのだ。

 また、ケガで休場し番付を落としている元幕内・炎鵬が、土俵周りでリハビリに励む姿も見られた。3月、大阪場所での復帰を目指しているという。土俵を沸かせる人気の小兵力士なだけに、その復帰は待ち望まれる。

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著者プロフィール

1989(平成元)年生まれ、さいたま市出身。早稲田大学国際教養学部卒業。ベースボール・マガジン社に勤務後、2018年に独立。フリーのスポーツライターとして『相撲』(同社)、『大相撲ジャーナル』(アプリスタイル)、スポーツ庁広報ウェブマガジン『Deportare』などで執筆中。2019年ラグビーワールドカップでは、アメリカ代表チーム通訳として1カ月間帯同した。著書『日本で力士になるということ 外国出身力士の魂』、構成・インタビューを担当した横綱・照ノ富士の著書『奈落の底から見上げた明日』が発売中。

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