【リーグワン戦士「青春」を語る】クボタスピアーズ・立川理道、大学の経験が成長の糧に

斉藤健仁

昨シーズンに続いてクボタスピアーズ船橋・東京ベイで主将を務める立川。貴重な経験を積んだ大学時代を振り返ってもらった 【写真/斉藤健仁】

 昨季、リーグワンでクボタスピアーズ船橋・東京ベイを初の優勝へ導き、年間MVPにも輝いたキャプテンCTB立川理道。4歳からラグビーを始めて、天理高校から天理大学へと進み、4年時はキャプテンとして大学選手権準優勝に大きく貢献。大学時代の活躍が認められて、すぐに日本代表に招集され、2015年ワールドカップなど国際舞台でも躍動した。そんな立川選手に大学時代、そして大学選手権の思い出を聞いた。

転機となった大学選手権での大敗

――昨季はキャプテンとしてスピアーズの優勝に貢献。連覇に向けて調子はどうですか。

立川 プレシーズンは試行錯誤していて、開幕戦は勝てなかったですが、長いリーグ戦を戦う上で一戦一戦しっかり戦っていくことが大事なので、目の前の試合にフォーカスしてやっています。もちろん連覇は目標ですが、一つ一つ大事に戦っていくことで、最後に手が届くものだと思っています。

――立川選手は天理高校から天理大学に進学。他の大学も選択肢にありましたか?

立川 一つ上の兄(直道・元スピアーズ。現・清水建設江東ブルーシャークス)の代から天理高校から天理大学に上がる人数が多くなっていましたが、それでも当時は、主力選手は他の大学へ進む人が多かったんです。僕は、そのときから今のリーグワン、当時のトップリーグで活躍したいという気持ちがあって、どの大学に行っても自分次第で頑張れば声がかかるかなと思っていました。兄も含めて一つ上の代の先輩たちが天理大学でプレーしていましたし、小松(節夫)監督の下でラグビーしたい気持ちもありました。違う大学でやるイメージもなく、進路には迷うことはなかったですね。

――天理大学時代の話を聞かせてください。当時はまだ土のグラウンドでしたか?

立川 入学当時はまだ土のグラウンドでした。1年生の9月に、筑波大学との定期戦があったのですが、その試合が人工芝グラウンドのこけら落としでしたね。また、今は部員全員が寮生活ですが、僕らの頃は(通いと寮が)半々で、僕自身も1、2年の頃は実家から通っていました。

――大学当時、一番大変だった練習は?

立川 ダムの階段を登る練習ですね! 兄がキャプテンになったときに朝練を始めて、グラウンドの周りにダムがあり、本当にきつい階段があるのを見て、朝練でそこを走るようになったんですけど、まあしんどかったですね(苦笑)。距離は2キロくらい、最初はアップダウンがあるダムの周りを回るんですけど、その後、階段を登りました。本数は覚えていないですけど、かなりの数をやっていました。

――立川選手は1年から試合に出ていましたね。

立川 そうですね。1年の大学選手権は1回戦で摂南大学に負けました。僕が入学する前は、天理大学は関西リーグ6位ぐらいで、入学して3位。2年のときに2位になって、3・4年は優勝しました。

――大学選手権は2、3年時には、準々決勝で東海大学と対戦しました。

立川 2年生のときはシーズン途中、10月ぐらいに膝をケガして僕は試合に出られませんでしたが、1回戦に勝ち、準々決勝で東海大学と対戦して12-53と大差で負けてしまいました。

 今でも強いですが、あのときの東海大学はすごく強かったんです。日本代表のリーチ マイケル(東芝ブレイブルーパス東京)さんとか、木津武士(元日野レッドドルフィンズ)さんとかすごい選手がいて、差をつけられてしまいました。なのに、東海大学の選手たちが「次の週から朝練だ」みたいな話をしていて…。そのレベルの選手たちが朝練をしているのに、関西で優勝していない自分たちが朝練もせずに勝てるわけがないだろう、と。それで兄がキャプテンになったとき、関東のチームに勝つためにもっと練習をしないといけないと小松監督に話して、朝練をすることになったようです。

――その敗戦が大きな転機になったというわけですね。

立川 そうですね。比較的僕らの代は、下級生のときから試合に出ている選手が多かったんです。もっと頑張りたいという気持ちのある選手がたくさんいて、もっと強くなるためには朝練習をやらないといけないと前向きな人が多かった。ですが、反発もすごくあって、実際に部を辞めた選手もいました。それでもブレないで突き進んだ兄はすごいなと思いましたね。

――結果、次のシーズンで関西リーグでは38年ぶりの優勝を飾りました。

立川 そのとき、関西のチームが強いと感じることはほぼなくて、圧倒して勝つことができました。大学選手権に出たときも、関東の大学とやっても戦えるという自信もつきました。また準々決勝で東海大学にチャレンジして、6-27でトライは取れませんでしたが、日本代表で活躍するようなメンバーがたくさんいたチーム相手に、僕らにとっては100点満点に近いゲームができたので自信になりましたね。

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著者プロフィール

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーとサッカーを中心に執筆。エディー・ジャパンのテストマッチ全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」、「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「ラグビー「観戦力」が高まる」(東邦出版)、「田中史朗と堀江翔太が日本代表に欠かせない本当の理由」(ガイドワークス)、「ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版)、「エディー・ジョーンズ4年間の軌跡―」(ベースボール・マガジン社)、「高校ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版)、「ラグビー語辞典」(誠文堂新光社)、「はじめてでもよく分かるラグビー観戦入門」(海竜社)など著書多数。

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