【リーグワン戦士「青春」を語る】クボタスピアーズ・立川理道、大学の経験が成長の糧に

斉藤健仁

キャプテンとしての日本一に

大学4年時の大学選手権決勝では魂のこもったプレーでチームをけん引した 【写真/斉藤健仁】

――お兄さんに続いて、4年でキャプテンに就任しました。

立川 兄がレールを敷いてくれたというか、こうしたら関東の大学に勝てる、自分たちが強くなる、という道みたいなものを示してくれたので、自分はそこを外さないように、その道をうまく進めばいいと思っていました。今、日本航空石川高校で監督をしているシアオシ・ナイなど、初めて留学生を迎え入れた代でメンバーも揃っていました。

 僕もそうですけど、当時のチームは高校日本代表に入っていない選手がほとんどでしたが、結局、トップリーグのチームにたくさん入ることができました。高校までなかなか目に止まらなかった選手が天理大学に来て、1年生から試合に出られた選手も多かった。そこは先入観なく見てくれている小松監督の目もあるのかなと思います。

――大学でキャプテンをやって苦労したことはありましたか?

立川 まったくなかったですね。大学も周りもすごくサポートしてくれましたし、本当に何もしていませんでした(笑)。プレーに集中して頑張るだけ、という感じでした。副将は(2021-22シーズンまでクボタスピアーズでプレーしていたFL)田村玲一で、高校のときから一緒にずっとやってきたので気心も知れていましたし、フォワードはほとんど任せていました。チームとしても、関東の大学に長らく勝っていなかったので、勝つことができるという土台を作ることができたのかなと思います。

――関西リーグでは全勝で連覇し、大学選手権の決勝に進みました。

立川 キャプテンになって小松監督と目標を決めるとき、2年連続で国立(競技場)を目前にして逃していたので「国立に行きたい」という話をしました。日本一という目標を立てようとしたときに、全く現実味がなかったんです。でも小松監督が、日本一を取れるチームじゃないと国立には行けないからとおっしゃり、中途半端にベスト4という目標を立てるのではなくて、日本一という目標を立てました。

 決勝は12-15と惜敗でしたが、プレッシャーはありませんでした。チャンピオンに向かっていくしかなく、何の気負いもなかったので、国立の雰囲気を楽しんでいたのかな、と。試合展開の中で同点優勝の可能性もあったのですが、残り5分ぐらいのところで攻めたことに関して後悔はしていません。ただ、勝ちきれなかったのは、キャプテンの僕の責任だと思います。

――天理大学に入って成長したと思うことはなんですか。

立川 (12番をやっていた)高校のときから割とフラットのラインでボールを動かすのが好きでしたが、大学では10番をやって、留学生2人がセンターだったので、ゲームの組み立てをすごく学べました。高校時代は漠然と「このサインプレーしたいから、こうやる」という感じでしたけど、ゲームの組み立てや流れを勉強させてもらいました。その後、再び12番をやるようになってもそれはプラスになっていますね。逆に10番に戻ったときに12番にしてほしいプレーも伝えられるようになったので、すごくいい経験になりました。それから日本代表にも選ばれ、ワールドカップに出場できました。すべてがつながっていると思います。

――大学時代で一番思い出に残っていることはなんですか。

立川 大学選手権決勝の後、新幹線の中で「キャプテンの差で負けたな」と監督に言われました。同点トライのときに僕がゴールキック決めていたら2点差をつけることができて、試合の流れは変わっていたかもしれない。結局、ペナルティゴールを決められて負けたんですが、小松監督としては冗談交じりに言ったんだと思いますけど、結構、心に残りましたね。でも昨シーズン、リーグワンで優勝して、10年以上かかってしまいましたが、キャプテンとして日本一になりました。小松監督に「見ましたか!」と言いたいですね(笑)。それでも、あのときに勝たせるキャプテンにならないといけなかったですね。

――でも、決勝で負けたときも毅然とした態度でチームメイトを励ましていた姿は印象的でした。

立川 負けて泣きじゃくってもいいんですけど、自分がそうなっている姿はあまりイメージできなかったし、負けたときこそ、人間の本性というか、態度みたいなものが試されるので、そこは自然とできたのもありましたね。

――そして、天理大学は2020年度に大学日本一になりました。

立川 すごく嬉しかったです。僕の代の後も関西で優勝したり、大学選手権で決勝にも行ったりしましたが優勝できずにいた中で、大学選手権の常連になり関東の大学と互角に戦っての優勝だったので、すごく嬉しかった。スピアーズのクラブハウスで、みんなでテレビを見ていたんですけど、落ち着きませんでしたね(苦笑)。

――あらためて、大学選手権は立川選手にとってどんな大会でしたか?

立川 大きな目標となる大きな大会はなかなか経験できることでもないですし、接戦や強度の高い試合は数試合しかないので、大学選手権でいい緊張感の中で試合できてすごく幸せでしたね。今季は天理大学も京都産業大学も準決勝で負けてしまいましたが、関西出身なので今でも関西のチームを応援しています!

【写真/斉藤健仁】

立川理道(たてかわ・はるみち)

1989年12月2日、奈良県生まれ。天理高―天理大。大学時代は4年時にキャプテンとして大学選手権で準優勝。大学卒業後、2012年にクボタスピアーズ(現・クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)に加入以降は日本代表でも活躍、15年W杯にも出場しておりキャップ数は56。チームではキャプテンを務め、昨シーズンのリーグ優勝の立役者となりMVPにも選ばれた。ポジションはCTB(センター)、SO(スタンドオフ)。180センチ・94キロ。

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著者プロフィール

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーとサッカーを中心に執筆。エディー・ジャパンのテストマッチ全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」、「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「ラグビー「観戦力」が高まる」(東邦出版)、「田中史朗と堀江翔太が日本代表に欠かせない本当の理由」(ガイドワークス)、「ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版)、「エディー・ジョーンズ4年間の軌跡―」(ベースボール・マガジン社)、「高校ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版)、「ラグビー語辞典」(誠文堂新光社)、「はじめてでもよく分かるラグビー観戦入門」(海竜社)など著書多数。

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