チームでパリ五輪出場を目指すマーメイドジャパン 「次の夏に向かっていける大会に」2月の世界水泳ドーハに臨む

沢田聡子

「日本はまだまだ行くぞ」進化するFR『チェス』

FR『チェス』は「勝利に近づく」気持ちを表現 【写真は共同】

 マーメイドジャパン(アーティスティックスイミング【AS】日本代表)は、デュエットに続きチームでもパリ五輪出場を目指し、世界水泳選手権(2月、カタール・ドーハ)に臨む。

 1月7日、東京アクアティクスセンターで、世界選手権を控えたAS日本代表がエキシビションを行った。アジア大会(昨年9~10月、中国・杭州)ですでにパリ五輪出場権を獲得しているデュエット(安永真白・比嘉もえ)は、新しいテクニカルルーティン『Cool Japan』を披露。一方、世界選手権でパリ五輪出場権獲得を目指すチームは、昨夏の世界選手権福岡大会でも泳ぎ銀メダルを獲得したフリールーティン(FR)『チェス』を演じた。
 代表選手達はFR『チェス』を、新チームが始動した2022年世界選手権ブダペスト大会(銅メダル獲得)から継続して泳いでいる。ゲーム音楽に乗って新たな日本の魅力を表現するこのルーティンは、いつ見ても斬新で勢いを感じさせる。演技後、取材に応じたチームキャプテンの吉田萌は、「新しいルールでミスが許されないぎりぎりの緊張」があるとしながら、FRについて次のように語った。

「もう何年かやっているルーティンなので、私達自身も気に入っていますし、観られているということが分かるとすごくテンションも上がってくる振付のところもあります」

「最初のアクロバティックで勢いを見せて、チェスの駒のように動くパターンチェンジ、そして最後に『勝利に向かって近づいていくぞ、チェックメイトするぞ』という気持ちを表した振付が見どころです」

 選手達は、振付にパリ五輪への思いを乗せて泳いでいるのかもしれない。世界選手権では、すでにチームでパリ五輪出場を決めた五か国を除く上位五か国にパリ五輪出場権が与えられる。パリ行きの切符を手にするためには、昨年から施行された新ルールに適応した演技が必須となる。吉田は、世界選手権福岡大会後もこのFRを進化させてきたと説明した。

「もちろん世界選手権(福岡大会)からアジア大会、アジア大会から次のドーハ世界選手権に向けて、常に進化を求めて。『日本はまだまだ行くぞ』というところを見せるのが、一回一回の大会で大事なことだと思ってやってきているので。今回もアジア大会よりもさらにレベルアップした内容を準備していますし、さらに高みを目指した構成を作りました」

 吉田によれば、バラエティに富んだルーティンにするため、各自が違う方向を向く工夫をしたという。ルール上同じ動きをする必要があるため、向きだけを変えている。

「向きを変えることによって、アーティスティックの方(の得点獲得)と、パターンチェンジが生まれたり、より見やすくなったりすることを狙っています」

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著者プロフィール

1972年埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、出版社に勤めながら、97年にライターとして活動を始める。2004年からフリー。主に採点競技(アーティスティックスイミング等)やアイスホッケーを取材して雑誌やウェブに寄稿、現在に至る。

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