1年目から大活躍!? ドラフト指名された即戦力候補たち

パ・リーグ6球団の最新戦力査定 来季に向けて補強が必要なポジションは?

西尾典文

楽天の最新戦力評価:C-

ドラフトでは全て支配下で8人を指名。ドラ1の古謝は、今季限りで引退した同じ左腕投手の塩見から背番号17を引き継いだ 【写真は共同】

【今後の補強ポイント】松井裕樹に代わる抑え

 チーム防御率はリーグ最下位で、先発もリリーフも手薄な印象だ。そこから絶対的なクローザーだった松井裕樹がメジャー移籍を目指して退団が濃厚となり、さらに苦しい状況となった。先発投手陣も荘司康誠、早川隆久以外はベテランばかりで、成績を落としている選手が目立つ。ドラフトでは上位3人を投手で固めたが、2位と3位は高校生であり、1位の古謝樹(桐蔭横浜大)も即戦力としては考えづらい。

 野手も主砲の浅村栄斗はまだ余力がありそうだが、鈴木大地、島内宏明などが成績を下げ、彼らに代わる若手もなかなか伸びていないのが現状だ。投手、野手に関係なく、あらゆる部分が補強ポイントと言える。

 そのなかでもやはり喫緊の課題は松井裕樹に代わる抑えだろう。誰かを配置転換するにしても、その分中継ぎ陣にしわ寄せがくることは間違いない。新外国人選手はもちろん、他球団を自由契約になった選手やトレード、現役ドラフトも含めて、方法を問わず補強する必要がありそうだ。

西武の最新戦力評価:C-

先発投手陣は強力だが、左腕は隅田のみ。ドラ1の武内は1年目からローテーション入りする可能性が十分ある 【写真は共同】

【今後の補強ポイント】強打の内野手

 主砲の山川穂高が自身の不祥事で長期離脱となり、リーグ最下位の得点、ホームラン数に終わった今年の西武。FA宣言した山川の去就は未定だが、残留の可能性は低いと思われる。チーム最多本塁打が現在40歳の中村剛也の17本ということを考えると、来季はさらに苦しい状況になりそうだ。特にサード、ファーストが固定できていないだけに、ホームランを打てる強打の内野手の獲得をなにより優先したい。

 一方の投手はドラフトでの補強が大きい。1位の武内夏暉(国学院大)は3球団が競合した即戦力候補で、1年目からある程度の勝ち星、イニング数を見込める。また2位の上田大河(大阪商業大)も万全の状態であれば早くから一軍の戦力となる可能性は高い。7位の糸川亮太(ENEOS)もシンカーという絶対的なボールがあるだけにリリーフとして面白い存在だ。そういう意味でも今後の補強は野手に狙いを絞るべきだろう。

日本ハムの最新戦力評価:C-

ドラフト2位の進藤は強肩強打の捕手。伏見や清水、上武大の先輩である古川らがしのぎを削る正妻争いに割って入れるか 【写真は共同】

【今後の補強ポイント】フル回転できるタフなリリーフ投手

 2年連続で最下位に沈んだが、野手は万波中正、清宮幸太郎、野村佑希の成長もあり、だいぶ戦える顔ぶれになってきた印象を受ける。さらにドラフトでは2位で大学ナンバーワン捕手の進藤勇也(上武大)を獲得(すでに仮契約)。守備はかなりのレベルにあり、打撃もパンチ力があるだけに、いきなり正捕手争いに加わる可能性もある。

 反面、気掛かりなのは投手陣だ。メジャー挑戦を目指して退団が濃厚となっている上沢直之の穴を埋めるために、FAの山﨑福也(前オリックス)を射止めたのは評価できる。だが確実に貯金を作れる先発投手がおらず、リリーフも他球団と比べて充実しているわけではない。

 トレードでオリックスから黒木優太を獲得し、巨人を自由契約になった鍵谷陽平とも育成契約を結んだが、まだ十分とは言い難い。ドラフトでも投手の指名は1位の細野晴希(東洋大)だけだっただけに、新外国人選手や現役ドラフト、トレードなどでさらにリリーフ強化を図りたいところだ。

(企画・編集/YOJI-GEN)

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著者プロフィール

1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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