桃田が示した「復活というより新しいスタイル」の自負 21年世界王者との激闘に熊本が沸いた
過去とは違うプレースタイル、必殺ヘアピンは健在
積極的にスマッシュを打ち込む姿は、以前にはなかったものだ 【筆者撮影】
さらに、この試合のフィニッシュが、またも必殺のヘアピンショット。「本当に良いですね。最後の方も、自分のヘアピンを警戒して、相手もすごく前に来ていたので(相手の背後に出す球も効いた)」と手応えを示したヘアピンは、しっかりと足を運んで踏み込み、安定した姿勢で打つことで切れ味を発揮した。レシーブ技術に頼らず、以前よりも積極的に動き回り、果敢にアタックをするスタイル。22年東京開催の世界選手権後に取り組み、なかなか結果が出なかったが、少しずつ改善を目指したことと、腰痛の痛みから解放されたことで、新たな勝ち方が見えて来た。
「新しいスタイルでどんどんやっていきたい」
桃田は、勝ち方を見失った苦しみから抜け出しつつある 【筆者撮影】
無敵を誇った時代を忘れず「完全復活」を期待する人も多いが、桃田は、こう言った。
「みんな、監督になった気分で、あの時と比べて、今の桃田は、ああだこうだと論争してもらえるのも、ありがたい。でも、復活というよりは、もう新しいスタイルでどんどんやっていきたい。そこに戻すというよりは、もう違うやり方で。時代も変わってくる。対応しながら自分らしさを見つけられたらいい。昔は、長いラリーが多かったけど、今は、低い、速い展開がすごく多い。順応しながら、でも(技術を生かして戦う)軸はぶらさずに、行けたらいい」
熊本を沸かせたことについて聞くと、桃田は「俺の方が(力を)もらったっすよ。いっぱい、応援してもらったんで」と答えた。再び世界で戦う手応えを得たニュースタイルの挑戦者は、応援する者とエネルギーを循環するサイクルに戻ろうとしている。