小林夢果-大接戦の最終戦・完全Vを達成
【Photo:Toru Hanai/Getty Images】
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首位タイで迎えた18番、バーディーパットは3メートルの上りスライスライン。小林夢果は、視線を遠くへ投げた。そして、アドレスへ入った。「上りのラインをショートするなんて、格好悪い。ちょっと足が震えていたけど、しっかりストロークをした」と、照れながら振り返る。
覚悟が生んだウイニングパットだった。さらに、「バーディーを決めたら優勝。わかっていました。その時、最終プロテストの最終日の記憶がよみがえってきて…」とひと息つぎ、「第2打でボールがオンしたところ、ラインがほぼ同じ。ただ、テストでは外したから、今度こそ、と気合が入った。いいパッティングを打って、やっと優勝です。ボールを拾おうと下を向いたら、うれしくて、うれしくて、涙が自然にこぼれてきた」と笑顔をつくる。
視線の先にあったのは、人生のターニングポイントだった。こんなドラマがあったとは...。話をうかがっている時、特大の-いいね、を贈りたくなった。
大器の評判は、抜群の飛距離から。指導を受けるのはジャンボ尾崎だ。「ようやく、ようやくです。優勝できました、と報告できるのは。なんて言おうか、ドキドキです。でも、18番のグリーンでたくさんの人たちの顔が浮かんできました。それから、山陽新聞レディースカップ、サロンパスレディスオープンの逆転負けなどを思い出して...。きょうは、朝から死ぬ気で頑張るつもりでいた。同じ悔しさを、もう味わいたくない」。忍耐がVを運んできたのだ。
【Photo:Toru Hanai/Getty Images】
それにしても、いつも感じるのはギャラリーがみていて、気持ちが良いスイングをすることだ。「距離が出るからといって、抑えて打ってしまうと、精度が定まらない。これからも思い切ってスイングをするつもりでいるし、球筋をフェードに変えようとも思っていない。これからはボールの高さ、ハイドローとロードローをしっかり打てるようにします」。自身の将来像はすでに描いている。
それだけに、最終戦は大きな自信となったことだろう。24年、飛躍のためにはQTファイナルステージでチャンスをつかむこと。「30位以内に入るためには、もう一度ショットからパッティングまで入念にチェックしないといけませんね」と、大きく息を吸い込んだ。
次から次へと目標が浮かぶ、勝負の世界。経験をしながら、少しずつ大きくなっていく。ただし、今回の完全優勝で真価の過程のスピードが増すことは確かだ。鉄は熱いうちに-。
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