「両投左打」の大阪桐蔭・徳丸快晴 稀有な武器と豊富な経験で再びチームを頂点へ

沢井史

智弁和歌山で活躍の兄「打撃センスは弟の方が上」

智弁和歌山でプレーした兄・天晴は長打力が光る打者だったが、弟の快晴(写真左)はホームランへのこだわりは強くないようだ 【沢井史】

 大阪桐蔭は秋の大阪大会を5年連続で制したが、今秋は5回戦の近大付戦は3-2、準々決勝の大体大浪商戦は5-4と接戦も多かった。

「もっと圧倒して勝っていかないと近畿大会はもっとハイレベルなチームが出てくる。先制してもダメ押し点などが府大会ではあまり取れていなかったので、まだまだです」

 決勝では夏の府大会決勝で涙を飲んだ履正社を3-2で下し、雪辱を果たした。自身は4打数無安打と本領を発揮できなかった。

 それでも近畿圏では指折りの強打者に数えられる徳丸は、現在、高校通算本塁打24本を記録している。「練習試合では(ホームランを)打てるんですけれど、公式戦ではなかなか打てていないんです。でも、しっかり叩いてヒットが出ればいいと自分では思っています」と、ホームランに強いこだわりはない。

 府大会の準々決勝、準決勝で計3本塁打を放った4番のラマルは自分と3本差の通算27本塁打(大阪大会終了時点)。大会中はホームラン数を競う状況だった。前チームからともにクリーンアップを組んできたラマルは、身近であってとても大きな存在だが、特に意識はしていない。

「ラマルは元々長打を打つバッターで、自分とはタイプが違いますので……。自分は自分のできることをやっていきたいです」

 智弁和歌山で1年秋から4番を打ち、3年夏に全国制覇を果たした兄・天晴(現NTT西日本)は、以前、弟についてこんなことを言っていた。

「長打力は自分は負けませんが、打撃センスは弟の方が上です」

 その言葉を本人に伝えると本人は笑顔で返した。

「自分も負けていないと思います」

 体調不良者が復活し、近畿大会初戦では「3番・右翼」の定位置に戻った。打つ方は3打数1安打。次戦の相手はセンバツ準決勝で敗れた報徳学園だ。ストレートの最速がともに140キロ中盤の本格派右腕・間木歩、今朝丸裕喜が控え、正念場の戦いとなる。

 兄とは違った輝きを、今度は自分が――。

 最上級生になった弟・快晴のひと振りで、名門を再び全国の最高峰へ押し上げる。

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著者プロフィール

大阪市在住。『報知高校野球』をはじめ『ホームラン』『ベースボールマガジン』などに寄稿。西日本、北信越を中心に取材活動を続けている。

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