一芸に秀でた独立リーグのドラフト候補野手たち NPBブレイクする「20盗塁以上、10本塁打以上、捕手」は誰だ?
捕手は町田隼乙、嶋村麟士朗が有力候補
【公式記録等から筆者作成】
今年その候補となるのは町田隼乙(埼玉)、嶋村麟士朗(高知)だ。2人とも20歳と若く、打撃面でも結果を残している。町田は8本塁打を放つパンチ力があり、嶋村はバットコントロールの良い中距離打者タイプ。捕手は捕球技術や投手とのコミュニケーション力などデータ化し辛い能力も多く求められるが、近年は打撃面の重要性が増しており、打てる捕手であることは好評価なはずだ。
石垣杜心(茨城)は長打の出るスイングが魅力で、田島光祐(信濃)はリーグ1位の盗塁阻止率.408を誇るなどディフェンス面で評価されるタイプ。また、BCL選抜に選ばれている19歳の日渡騰輝(茨城)は守備、打撃両面でアピールを続けており、将来性を見込んだ指名があるかもしれない。
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19歳の高野光海と宇都宮葵星は将来性が高い
【公式記録等から筆者作成】
高身長の選手では195センチの大型遊撃手・山保健太郎(高知)が面白い。8月25日〜9月3日に行われた5試合で4本塁打と潜在能力が開花。左中間スタンドにも放つなどシーズン当初と比べてスイングが改善されている。
184センチのため表からは外れているが、右の長距離砲としては角井亮太(徳島)も気になる存在。22日の愛媛との試合では大勢のスカウトの前で先制の3ランを放ち、自身の打撃スタイルを強く印象づけた。
身長と年齢のどちらの表にも出てくる19歳の外野手・高野光海(富山)も楽しみな選手。リーグトップタイの5本塁打を放った一方、ボールゾーンへの変化球には苦しみリーグダントツの62三振を喫した。選球力向上の知見を持つ球団なら育成枠で指名してもおかしくはない。同じく19歳の世代では宇都宮葵星も走力、バットコントロールの良さで注目される内野手。まだ体重が軽く、今後のトレーニング次第で筋肉量を増やせる選手だと思われる。
若手の遊撃手では20歳ながら攻守でチームを牽引する金子功児(埼玉)や、フットワークの良い伊藤琉偉(新潟)にも高評価の声が聞かれる。いずれも将来が楽しみな選手だ。
独立リーグ出身の選手が当然のように活躍すれば、プロ野球全体の底上げとなる
個人的には井上、増田、奥村のような「年齢は高いがリーグトップクラスの打撃力があり、走攻守3拍子揃っているタイプ」が指名され、NPBの一軍でも活躍できるかに注目している。
昨年の茶野はIBLJの首位打者であり、脚力は目立っていたが一芸だけではない万能タイプだった。そのようなタイプが継続的にNPBでも活躍できるならば、独立リーグへの見方が変わるはず。例えば、シーズン中に不足した戦力を独立リーグから補充したいというNPB球団の需要も出てくるはずだ。もしドラフトでの指名が必要なく、NPBとIPBLで選手の移籍ができる状況になれば、中長期的にはプロ野球全体を底上げでき、良い循環が生まれるだろう。
IBLJ創設当初はNPBからドラフトで指名される対象ではなく、あくまでもNPBに近い立場として、シーズン中にNPBの球団へと移籍できる関係を目指した歴史もある。来季からNPBの二軍の新規参入チームが議論されている中で、今後の連携の形をどうするのか。その方向性を議論する上でも、まずは独立リーグのドラフト候補選手が多くNPBの球団に指名され、来年度以降、一軍で活躍する姿を期待したい。