プロ野球2023シーズン終盤戦の12球団見どころ

日本ハムから本塁打王誕生なるか、2ケタ勝利達成者は? 今季の進化を確かめながら来季への光を掴む

三和直樹

誕生した新守護神、2ケタ勝利達成者は?

26日に完封で7勝目を挙げた伊藤をはじめ、2桁勝利を狙える投手は複数いる 【写真は共同】

 投手陣でも新戦力の台頭が目立っている。まず触れるべきは、現役ドラフトでチームに加わった田中正義だ。ドラフトの目玉としてプロ入りして以降、度重なる故障と長引く不振に悩んでソフトバンクでの5年間は通算34試合で0勝1敗、防御率4.25だった右腕が、新庄監督のもとで潜在能力を開花させ、今季ここまで40試合登板で防御率2.92(2勝2敗、8ホールド)の好成績。シーズン途中から抑え役を任されて21セーブをマークしている。残り試合の中で防御率2点台をキープするとともに「正義執行」を続けて30セーブ到達を期待したい。

 また、6月末に郡司とともに中日からトレード加入した山本拓実が、ここまで16試合に登板して防御率1.76の安定したピッチングを続けている点も見逃せない。宮西尚生が2軍調整中で、池田隆英、河野竜生、ロドリゲスといった面々が並ぶブルペン陣の中で、山本が勝利の方程式に食い込めるかどうか。

 そして先発陣では「2ケタ勝利達成者なるか」が注目ポイントになる。8月29日の時点で上沢直之が7勝(7敗、防御率2.83)、伊藤大海が7勝(7敗、防御率3.34)、加藤貴之も7勝(8敗、防御率2.85)と3投手が勝ち星の数で並んでいる。残り5試合程度の先発が予想される中で「あと3勝」を挙げることができるか。チームとしても「2ケタ勝利投手0人」は避けたいところだ。

最後まで「上」を目指して

 今季もBクラスの戦いが続いてはいるが、8月を借金25で終え、最終的に借金22(59勝81敗3分け)の最下位、5位は9ゲーム差だった昨季とは、チーム状況も戦力も違う。進化しているはずであり、そうでければならない。その証として、最終的な順位にはこだわりたいところ。8月29日時点で3位のソフトバンクとの7ゲーム差は決して逆転不可能な差ではない。最後の最後まで「上」を目指してファンに勝利を届けたい。

 8月は残り2試合の時点で、オリックスに次ぐ13勝(10敗1分け)を挙げて月間勝ち越しを決めている。このいい流れを続けて、シーズンをどう締めくくるか。9月以降の戦いが、新庄監督体制の2年目の印象を大きく左右するとともに、“勝負の3年目”となる2024年シーズンへ向けた大きな試金石となる。

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著者プロフィール

1979年1月1日生まれ。大阪府出身。学生時代からサッカー&近鉄ファン一筋。大学卒業後、スポーツ紙記者として、野球、サッカーを中心に、ラグビー、マラソンなど様々な競技を取材。野球専門誌『Baseball Times』の編集兼ライターを経て、現在はフリーランスとして、プロ野球、高校野球、サッカーなど幅広く執筆している。

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