内海哲也が挑んだ再起のマウンド 登場曲、最後の1年を前にした思い
【写真は共同】
6度のリーグ優勝、2度の日本一、09年のWBCでは世界一も経験するなど順調すぎるキャリアを重ねたが、まさかの人的補償で西武へ移籍。失意の中、ある先輩から掛けられた言葉が内海を奮い立たせていた。内海は何を想い、マウンドに挑み続けたのか。今初めて明かされる。内海哲也著『プライド 史上4人目、連続最多勝左腕のマウンド人生』から、一部抜粋して公開します。
708日ぶりの一軍マウンド
同年3月に肉離れを起こした後は、トレーナーから2、3週間「投球禁止」と言われ、球団の復帰プログラムに沿ってリハビリに取り組みましたが全然状態が上がっていきませんでした。無理して投げても状態が上がらず、結局シーズンオフに手術を受けることになりました。
左腕にメスを入れて中を見てみると、自己治癒力では回復しないくらい肉離れが悪化していました。左前腕の筋腱修復術を受けて、再起を図ることになりました。
そうして迎えた移籍2年目の2020年。春季キャンプが始まっても、縫った箇所が引っ張られているような感覚がしたので、今度は焦らずに復帰を目指すことにしました。目標にしたのはなんとか夏までに一軍昇格を果たすことです。まずはまた、あの舞台で投げることに照準を定めました。
その機会がやってきたのは8月22日、京セラドーム大阪でのオリックス戦でした。ファームで投げている頃から左腕の痛みもなかったので、「よっしゃ。獲って良かったと思ってもらえるようなピッチングをしよう」と意気込んでマウンドに上がりました。
708日ぶりの一軍マウンドでは先頭打者の大城滉二を内角への真っすぐで見逃し三振に打ち取り、3回まで無失点と上々のスタートを切ります。気持ち的にも乗っていくことができました。
ですが、4回一死から吉田正尚(現ボストン・レッドソックス)にセンター前安打を打たれると、続く中川圭太のピッチャーゴロでゲッツーを狙ったセカンドへの送球が逸れてしまいます。この回を切り抜けられたかもしれない状況から一転、一死1、3塁のピンチで打席に迎えたのは5番のアダム・ジョーンズ。初球のチェンジアップが甘く入り、レフトスタンドに運ばれてしまいました。
試合勘の欠如と言ったらそれまでですが、外国人バッターに対して初球の入りは絶対甘くなってはいけない場面でした。もっと若くて調子がいいときなら、ボール気味に投げて振らせるようにしていたはずです。でも直前に自分のエラーもあって、メンタル的に追い込まれていたのかもしれません。トータルとしては6回4失点と僕の中ではまずまずのピッチングができただけに、ジョーンズへの1球が悔やまれました。
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