夏の愛知大会の組み合わせが決定! 気になる王者・東邦の相手は…かなりの強敵揃い!?

尾関雄一朗

ベスト8を前に立ちはだかる「ジャイキリ」誉

2019年夏に甲子園初出場、昨年はドラフト1位輩出と好循環の誉。今年は黒野颯太(3年)ら投手力が出色だ 【尾関雄一朗】

 東邦は5回戦でも、これまた「セカンド私学」の強敵が待ち受ける。2019年に「ジャイアント・キリング」で甲子園初出場を果たした誉だ。昨年のドラフト会議ではイヒネ・イツアがソフトバンクから1位指名を受けた。今年もプロ注目投手を擁し、甲子園を狙えるチームに仕上がった。

 投手陣三本柱は強力だ。最速148キロの黒野颯太(3年)には、プロ球団スカウト陣の視察が相次いでいる。筆者が取材に行った5月21日の練習試合でも、パ・リーグ3球団の姿があった。タテのスライダーは難攻不落だ。最速144キロの子迫創太(同)も球に威力があり、独特の球筋に手を焼く。さらに技巧派左腕・井戸田拓真(同)が東邦打線を手玉にとる可能性を秘める。

 誉の矢幡真也監督は、まず目の前の一戦に全力を注ぐ構えをとりつつも、東邦との対戦を「待ち遠しいです」と見据える。

「ウチのチームは今年、投手力が特に高く、球そのものは高校生トップクラスのボールを投げています。攻撃では嫌らしく足を絡めていけます。うまくハマれば、甲子園に出た年のチームよりも総合力は上。毎年練習試合をしている強豪校の監督さんたちから『昨年や一昨年のチームを相当上回っている』という感想ももらっています」

 東邦の強さは認めつつも、勝機はある。「東邦さんは秋と春の県大会で優勝し、センバツでも勝ち上がるなど、総合的に勝ち方を知っていて隙がない印象です。宮國君(凌空/3年)、石川君(瑛貴/同)以外にも、投打に選手が豊富です。我々としては、打撃戦になると分が悪い。なんとか我々の土俵に引きずり込みたいです」(矢幡監督)

 ただ、必ずしも誉が勝ち上がるとは限らないのが、戦国愛知の厳しさ。誉は4回戦で中部大第一との対戦が予想されるが、中部大第一もまた「セカンド私学」の一角で、過去に立野和明(現・日本ハム)らを輩出したツワモノだ。

 中部大第一も上位勢と差はない。今春県大会では享栄と接戦を繰り広げた。左腕の塩塚咲哉(3年)、右腕の小谷昊(同)ら投手陣に安定感がある。強打者の篠田光一(2年)や、走者を刺せる捕手・桑垣勇野(3年)ら野手陣の地力も高い。

 このほか、公立の代表格・西尾東や、好捕手・早川昂汰(3年)のいる名東なども東邦への挑戦権をうかがう。

 東邦にとっては、3回戦(初戦)から5回戦まで、まったく気を抜くことはできない。「Eブロック」での3試合だけを見ても、道は平坦ではない。宮國、山北、岡本昇磨(3年)らの投手陣が消耗せず、余力をもって準々決勝以降に臨みたいところだ。

愛工大名電に享栄…準々決勝以降も激戦必至

ドラフト上位候補に挙がる享栄の左腕・東松快征。昨夏、昨秋ともに敗れた東邦打線に対し、パワーアップして挑む 【尾関雄一朗】

 「Eブロック」を勝ち抜いてベスト8に入ると、準々決勝を前に再抽選が行われる。各ブロックのシード7校(中部大春日丘、至学館、愛工大名電、豊川、愛知啓成、享栄、桜丘)や、ノーシードから出発する中京大中京などが名乗りを上げそうだ。

 東邦はライバル勢に対し、一度は勝負付けを済ませている。愛工大名電に対しては、昨秋県大会で1対0で完封勝ちした。先発したエース宮國が、夏に敗れた愛工大名電にリベンジを果たした(※夏は決勝で先発登板し、5回3失点で敗戦)。宮國は当時「絶対に負けたくなかった」と気合十分の力投。この夏も返り討ちにする。

 ドラフト上位候補に挙がる享栄の最速152キロ左腕・東松快征(3年)とは昨夏と昨秋に対戦し、ともに退けている。秋は敵のミスに乗じて攻め込み、中村騎士(3年)が東松から本塁打を放った。このほか今春県大会では、愛知啓成やクセ者・至学館などを相手に押し切った。

 もちろん、これらライバル勢も、東邦に負けじとその後も力をつけている。東松とて当時からバージョンアップを重ね、雪辱に燃えている。愛知啓成はプロ注目右腕・清水凰史(3年)が今春の東邦戦では登板しておらず、夏本番にぶつける目論見だろう。

 相手に不足なし。がっぷり四つの戦いがいよいよ幕を開ける。

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著者プロフィール

1984年生まれ、岐阜県出身。名古屋大を卒業後、新聞社記者を経て現在は東海地区の高校、大学、社会人野球をくまなく取材するスポーツライター。年間170試合ほどを球場で観戦・取材し、各種アマチュア野球雑誌や中日新聞ウェブサイトなどで記事を発表している。「隠し玉」的存在のドラフト候補の発掘も得意で、プロ球団スカウトとも交流が深い。

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