張本、初メダル&中国越えなるか ハイレベルな上位争いに日本男子が挑む
シングルス初出場・吉村は番狂わせを起こせるか
初のシングルス代表をつかんだ吉村。1月のアジア大陸予選では馬龍にも勝利 【長田洋平/アフロスポーツ】
世界選手権個人戦初出場の及川も、このところは国際大会での成績が伸び悩んではいる。しかし、かつては強豪ひしめくドイツ・ブンデスリーガで個人成績1位に輝くなど、上位勢と渡り合えるだけの実力はある。「前回の(世界選手権)団体戦で銅メダルを獲れたし、世界選手権独特の雰囲気も味わえたので、今大会でもメダルを目指して頑張りたい」と、持ち前のクレバーな試合運びで存在感を見せてほしい。
吉村は国際大会出場が少ないため、現在の世界ランクは105位。今大会は序盤から強豪との対戦となる可能性が高い。しかし、リオ五輪団体戦で銀メダルを獲得し、世界選手権混合ダブルスでも優勝とビッグゲームでの強さは折り紙付き。「やっとシングルスで切符をつかむことができた。自分なりに卓球が成熟してきて、トップで戦えるようになってきたというのを感じている。まだまだ強くなれるし、一歩一歩成長していきたい」とモチベーションも高い。その実力と勝負強さで番狂わせを起こす可能性も十分にある。
縮まる中国と他国の実力差。男子は群雄割拠の戦国時代へ
前回大会準優勝のモーレゴード。ユニークな形状のラケットと大胆なプレーが魅力 【Photo by Bai Yu/CHINASPORTS/VCG via Getty Images)】
特にヨーロッパは前回大会で19歳にして準優勝に輝いたモーレゴード(スウェーデン)を筆頭に、東京五輪で張本に勝利したヨルジッチ(スロベニア)、水谷隼、石川佳純らを指導した邱建新の息子であるチウ・ダン(ドイツ)、この1年で急激に力をつけているルブラン兄弟(フランス)ら新世代が台頭。各国に個性豊かな実力者が揃い、中国、アジア勢と覇権を争っていた90年代のようなムードがあり、今大会のヨーロッパ勢は何かやってくれそうな雰囲気がある。
アジア勢では東京五輪4位の林昀儒(チャイニーズタイペイ)が初の世界選手権シングルスメダルを狙う。また、韓国の林鐘勲、張禹珍もその馬力で中国を脅かす可能性はある。今大会の男子はハイレベルかつ混戦模様。日本の活躍は当然ながら、熾烈な上位争いにも注目だ。
企画・構成:浅野敬純/卓球王国