いよいよバドミントンの五輪レースがスタート 初戦に挑む日本代表「2つの注目ポイント」

平野貴也

五輪レース中の団体戦は、日本勢同士の争いに影響

志田/松山ペアら強豪がそろう女子ダブルスなど、団体戦のメンバーに入るかどうかで順位争いにも影響が出る 【写真:ロイター/アフロ】

 五輪レースで日本が目指すのは、各種目最大2枠の出場権獲得。シングルスは16位、ダブルスは8位以内に2名(2ぺア)以上が入ることが条件となる。ただし、複数の日本選手が条件を満たす場合は、日本勢で2位以上であることも必要となる。

 総合力が高くチーム戦で高ポイントを稼げる可能性が高い団体戦は、メンバーに入るかどうかで大きな差がつくため、選手選考も気になるところだ。24年2月に行われるアジア団体選手権もスディルマン杯と同様にチーム成績に貢献した出場選手にポイントが付与される(ただし、団体戦は、最上位ポイントの1大会分しか世界ランクに反映されない)。また、例年ならレース対象外のアジア競技大会が22年から1年延期され23年9月に開催予定であることも影響しそうだ。アジア競技大会の団体戦は、世界ランキングポイントの対象外となっているが、個人戦は、BWFワールドツアー最高ランクのスーパー1000と同等の高いポイントが設定されている。すべての大会に同様のメンバーで臨むのか、大会結果に応じて選考基準を変えるのか。団体戦を含む大会において、日本バドミントン協会が、どのような方針を採るか注目される。

スディルマン杯メンバー外の桃田、奥原は個人戦からスタート

 今回のスディルマン杯では、世界選手権2度優勝の実績を持つ男子シングルスの桃田賢斗(NTT東日本)が、同種目の4番手でメンバー外。女子シングルスで3大会連続の五輪出場を狙う奥原希望(太陽ホールディングス)も、負傷が続いておりメンバーから外れている。ともに大会翌週の23日に開幕するマレーシアマスターズ(BWFワールドツアースーパー500)にエントリーしており、順調ならこの大会でレースのスタートを切ることになる。東京五輪の前よりもポイントの高い国際大会が増えており、追いかける立場の選手にも数多くのチャンスが用意されている。ただし、パリ五輪レースはタフなスケジュールとの戦い。ポイントに余裕があれば連戦を回避してコンディションを整えることも可能になるため、先行逃げ切りが理想的だ。各々のコンディションやポイント状況に応じて、過密日程とどう付き合うかは、五輪レースの大きなポイントとなる。

絶対に避けたい負傷離脱、福島は「ケガをしないことが一番」

昨年の世界選手権を負傷欠場した福島/廣田ペア。細心の注意で激しい五輪レースに挑む 【写真:西村尚己/アフロスポーツ】

 いずれにせよ、負傷離脱は絶対に避けたいところ。出場や勝ち上がりが難しくなるだけでなく、焦りから再度コンディションを崩す恐れも出てくる。日本勢では、スディルマン杯のメンバーに入っている混合ダブルスの渡辺が負傷が続いており、状態が気がかり。女子ダブルスは、3ペアそれぞれに負傷欠場する大会があったが、レース開幕に間に合った。福島/廣田も昨夏に東京で行われた世界選手権を負傷欠場するなどしていたが、4月下旬のアジア選手権で優勝して完全復調。福島は「個人的にはケガをしないことが一番。そこは意識しながらやっていければ」と体調管理に注意を払った。

 男女混合団体で日本が初の世界一に輝けるか。また、負傷離脱者を出さず、多くの選手が出場して好成績を挙げることで、日本勢が五輪レースで好スタートを切るかどうか。スディルマン杯は、2つの点で注目の大会となる。

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著者プロフィール

1979年生まれ。東京都出身。専修大学卒業後、スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集記者を経て2008年からフリーライターとなる。主に育成年代のサッカーを取材。2009年からJリーグの大宮アルディージャでオフィシャルライターを務めている。

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