水沼貴史、福西崇史、槙野智章が厳選した「Jリーグ歴代最強チーム」 時代を超えて実現させたい夢のカードは──
水沼貴史氏が選ぶJ歴代最強チーム
2位:2019年の横浜F・マリノス(リーグ:優勝/リーグカップ:GS敗退/天皇杯:4回戦敗退)
3位:2006年の浦和レッズ(リーグ:優勝/リーグカップ:ベスト8/天皇杯:優勝)
草創期のJリーグを沸かせた水沼氏だが、ベスト2には近年の王者を選出した。なかでも三笘がブレイクした2020年の川崎には「どの時代に行っても強い」と太鼓判 【Photo by Koji Watanabe/Getty Images】
04年、05年とあと一歩で頂点に手が届かなかったとはいえ、ポテンシャルは抜群でしたし、(ギド・)ブッフバルト体制3年目の集大成と言えるチームには、強い一体感も感じましたね。
三都主(アレサンドロ)や鈴木啓太など、他にも魅力的なタレントがそろっていましたが、なかでも得点王(26ゴール)に輝いたワシントンは規格外。1人でフィニッシュまで持っていける力があったし、彼がボールを収め、それに呼応して周りが動き出す攻撃は迫力満点でした。
19年のF・マリノスは、川崎フロンターレの3連覇を阻止したという事実を高く評価したいですね。しかも、前年は一時残留争いに巻き込まれながら(最終順位は12位)、2年目の(アンジェ・)ポステコグルー監督のもと、アタッキング・フットボールを最後まで貫いて優勝した。したたかに勝ち点を積み上げていく鹿島アントラーズのようなチームとは、また違った強さと魅力を感じましたね。
私は優勝が懸かった2位・FC東京との最終節を解説させてもらったんですが、戦前には得失点差で不利な状況にあったFC東京の逆転優勝を予想する声も結構ありました。しかし、そんなプレッシャーがかかる大一番でも、F・マリノスは攻撃的に振る舞い、結果的に3-0の快勝を収めて15年ぶりのリーグ制覇を成し遂げたんです。
ポステコグルー監督が構築したハイプレス・ハイラインのサッカーは画期的でしたが、その戦術を支えていたのがセンターバックのチアゴ・マルティンス。高いディフェンスラインの背後を1人で守り切ってしまう彼のずば抜けたスピードがなければ、あの攻撃サッカーは成り立たなかったでしょう。
ただ、そんなF・マリノスを上回るのが、翌20年に覇権を奪還した川崎Fです。前年に3連覇を逃しましたが、そのリバウンドメンタリティが物凄かった。
J1史上最多の勝ち点83、4試合を残しての史上最速優勝といった記録が物語るように、文字通り他を圧倒したシーズンでした。従来のポゼッションスタイルをベースにしながら、この年はデュエルの部分にもかなりこだわり、チームとしてスケールアップを遂げた印象があります。
両翼に三笘(薫)と家長(昭博)、センターフォワードにレアンドロ・ダミアンがいて、中盤には守田(英正)、大島(僚太)、田中碧、そして最終ラインには谷口(彰悟)や山根(視来)……。大怪我から復帰した(中村)憲剛をはじめ、小林悠や旗手(怜央)などがサブなんですから、それは優勝するだろうっていう強力なメンバーでしたね。
リーグのベストイレブンには実に9人が選ばれましたが、個人的にMVPを選ぶなら、ルーキーの三笘でしょうか。コロナ禍による5人交代制も追い風に、当初は途中出場で鮮烈なインパクトを残し、最終的にはスタメンの座を掴み取りました。彼にとっては人生を変えたシーズンと言ってもいいでしょうね。
たぶん20年の川崎Fは、どの時代に行っても強いですよ。今回は「1ステージ制に移行した05年以降のチーム」を条件に、この3チームを選びましたが、例えば「N-BOX」で話題を集めた01年のジュビロ磐田と対戦させたらどうなるのか、想像すると楽しいですよね。
水沼、槙野の両氏が最強チームに選んだ2020年の川崎(左)と、福西氏が推す2001年の磐田の基本布陣 【YOJI-GEN】