J2首位の町田が主力不在でも5連勝 苦戦しつつ終盤に試合を決めたゲームプランとメンタリティ
終盤、リザーブの驚異的な得点力
沼田駿也(左)と荒木駿太(左から2人目)はリザーブ起用で大きな貢献を見せている 【(C)FCMZ】
荒木は4試合連続ゴールこそならなかったが、いわき戦も71分からピッチに入り、黒川の決勝点をお膳立てした。
「0-0だったら最後に絶対得点が入るからと監督に言われていました。今日もまたベンチのアツくん(黒川淳史)が結果を残してくれました」(荒木)
黒田監督は黒川の起用についてこう説明する。
「トレーニングも頑張っていた選手ですが、どうしても交代枠やチーム事情でベンチ入りが難しい状況でした。今節に関してはデュークもおらず、この1週間は非常に高いモチベーションで取り組んでくれていました。1点を取りに行きたい展開の中で、黒川は非常にゴールを取る嗅覚のある選手です。エリキのスピードを外して、彼に賭けるという一つのチャレンジでしたが、こちらの意図をしっかりと汲み取って、得点に結びつけました」
「出場2分」だった黒川が決勝点
黒川は言う。
「今日は0対0の苦しい展開で少し長い時間をもらえたので、ゴールに結びついて良かったです。(荒木)駿太が3試合連続で点を取っていましたけど、自分も『出れば取れる』という自信がありました。途中交代の選手が点を取ることは、強いチームになっていく証だと思います」
ベンチから出る選手が結果を出せば、チームは活性化する。「主力とリザーブ」に隔たりがなく、一体感を保てているチームは強い。
今季の通算成績が「3試合・7分・1得点」になった黒川は胸を張る。
「競争はありますけど、変なライバル心はなくて、誰が点を取っても素直に喜んでいます。全員が準備を怠らずに、1日1日を過ごしている結果が5連勝につながっているし、いい空気がチームの中で流れている。交代で入った選手が80分以降に点を取っていますけど、そこまでの80分間を戦ってくれる選手の頑張りがあってこその得点です」
他の選手からも「チームの一体感」「チーム全員で同じ方向を向いてやれている」といったコメントが相次いでいた。
町田が手にした自信
5連勝でサポーターも手応えを得ているはずだ 【(C)J.LEAGUE】
相手より先に隙を作らない、バランスを崩さず好機を待つマインドは、言葉にするだけなら簡単だ。しかし、それを定着させるためにはプラスアルファが必要になる。言葉通りの結果が出れば、必然的に黒田監督の求心力は上がる。選手やサポーターも含めた“ファミリー”が、自らのスタイルに自信を得たーー。それは町田にとって5連勝という結果以上の収穫かもしれない。