【対談】4.8 大一番に臨む拳四朗と吉野修一郎 世界4団体統一、“聖地”での世界挑戦に王手をかける

船橋真二郎

お互いにエール。「人生変えて」(拳四朗)「一緒に勝とう」(吉野)

ともに勝利を誓う拳四朗(左)と吉野(右) 【船橋真二郎】

――今はもちろん目の前の試合がすべてだと思いますが、この先に見えるものが気持ちを高めるところもあると思います。

拳四朗 僕はもう4団体統一。で、階級を上げるって感じです。

――防衛記録がなくなったから、目標を4団体統一に切り替えたみたいな言われ方をしていますけど、以前から言ってきたことでもありますよね。防衛を続けながら、タイミングが合ったら、統一戦をしてベルトを集めたいと。

拳四朗 はい。しかも1回、決まってたじゃないですか。

――(当時の)IBF王者のフェリックス・アルバラード(ニカラグア)ですよね。相手の病気で流れてしまいました(2019年12月)。

拳四朗 まあ、より目標が明確にはなったので、ここまで来たらやりたいですね。でも、僕の力ではどうしようもできないことなんで、こうして統一戦ができることに感謝して。僕はいい試合で勝って、またやらせてもらえるようにやるだけです。

吉野 僕はもう、この先もまたアメリカでやらせてもらえるように。今回はニュージャージー州ニューアークで、シャクールの地元ですけど、やっぱり、ニューヨークのマディソン・スクエアガーデンとか、ラスベガスのMGMグランドとか、そういうアメリカの聖地と言われている場所でやれたらいいですよね。日本のヨシノとして。

拳四朗 そうなったら、デカいよな。マジで人生が変わるな。

――今回は完全アウェイ、本当の敵地での戦いにもなりますね。

吉野 そこはあまり気にならないです。逆に気合いが入りますよね。予想も自分が不利でしょうし、そこで勝ったら、最高じゃないですか。

拳四朗 むしろ、「やったろう!」みたいな感じになるよな。

吉野 そうね。逆に「この日本人やるな」「強えじゃん」って、応援してもらえるぐらいに。

――逆にシーンとさせるのも気持ちいいかもしれないですね。

吉野 そうですね。世界を驚かせてやりたいですね。

拳四朗 いや、それ、いいと思う!

――では、最後にお互いに期待するところを一言。

拳四朗 ここはマジで勝負やから、勝ってほしいし、人生を変えてほしいですね。

吉野 さっきも言ったように心配はないんで。僕からは一緒に勝とう! ですかね。

拳四朗 ほんまにそうやな。勝つだけやんな。まあ、俺は解放されて、吉野の試合を見るときは気楽に見れるからな(笑)。

吉野 まあ、見とけよ(笑)。


■寺地拳四朗(てらじ・けんしろう)

1992年1月6日生まれ、京都府城陽市出身。奈良朱雀高校3年時のインターハイで準優勝、国体3位。主将を務めた関西大学では国体優勝、全日本選手権準優勝の実績を残した。2014年8月にプロデビュー。2015年12月に日本ライトフライ級王座、翌年8月に東洋太平洋同級王座を獲得。2017年5月にWBC世界ライトフライ級王者となり、8連続防衛を果たす。2021年9月、矢吹正道(緑)に11回TKO負けで王座陥落。だが、昨年3月に矢吹を3回KOで下し、王座を奪還すると、同年11月にWBAスーパー王者の京口紘人(ワタナベ)に7回TKO勝ち。2団体統一王者となった。プロ21戦20勝12KO1敗。アマチュア74戦58勝(20KO・RSC)16敗。

吉野修一郎(よしの・しゅういちろう)

1991年9月28日生まれ、栃木県鹿沼市出身。栃木・作新学院高校時代は高校4冠。東京農業大学では国体準優勝2度、全日本選手権3位の実績を残した。大学で引退し、就職していたが、大学リーグ戦で後輩の試合を見て、一念発起し、2015年12月にプロデビュー。2017年10月に日本ライト級王者となり、2019年10月には東洋太平洋、WBOアジアパシフィック同級王座も獲得。3冠王者となる。昨年4月に元WBO世界スーパーフェザー級王者の伊藤雅雪(横浜光)、同年11月に元東洋太平洋ライト級王者の中谷正義(帝拳)を連破。アメリカ進出のチャンスをつかんだ。プロ16戦16勝12KO無敗。アマチュア124戦104勝(55KO・RSC)20敗。

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著者プロフィール

1973年生まれ。東京都出身。『ボクシング・ビート』(フィットネススポーツ)、『ボクシング・マガジン』(ベースボールマガジン社=2022年7月休刊)など、ボクシングを取材し、執筆。文藝春秋Number第13回スポーツノンフィクション新人賞最終候補(2005年)。東日本ボクシング協会が選出する月間賞の選考委員も務める。

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