現役大学生でセリエA挑戦中、髙橋藍インタビュー 「日本のバレーも世界に対して全然戦える」

田中夕子

同じセリエAでプレーする石川祐希への思い

石川祐希との対戦も2試合あった(写真は22年10月9日のASバレー・ルーベ戦) 【Photo by Roberto Bartomeoli/LiveMedia/NurPhoto via Getty Images】

 学生時代は石川祐希に憧れ、自身も同じようにトレーニングを重視し、技の引き出しを増やそうと取り組んできた。高校時代まではただ遠い「憧れ」だったが、日本代表に選出されてからはチームメイトになり、現在は同じセリエAでプレーする。ミラノに在籍する石川とは、昨年11月にはホームで、今年2月にはアウェイで直接対決に臨み、どちらも敗れはしたが現地の日本人会や日本、世界各国からファンが集まり、「めちゃくちゃ楽しかった」と笑顔で振り返る。

「単純に、石川選手はやっぱりすごいなと思うし、技術や身体つきというだけでなく、チームを引っ張る姿、統率する力もすごい。まだまだ自分には足りないと思うところもたくさんありますが、でも同じように自分もチームを引っ張れる存在になりたいし、ならなきゃいけない、と思います」

 かつて石川も同じパドヴァに在籍し、現在も試合で顔を合わせるだけでなく、連絡を取り合い、さまざまな話をする。身体づくりを重視し、日々の生活から気を配る石川と同様に、今シーズンは髙橋もより積極的に自炊にも取り組むようになり、自身曰く「料理の腕前もだいぶ上がった」と胸を張る。

「カルボナーラは相当上手につくれるようになりました。これは絶対、祐希さんに負けていないです(笑)」

イタリアで過ごす充実の日々

 普段のコミュニケーションは英語だが、イタリア語も学ぶ日々。バレーボールに語学に料理、充実の日々を過ごし、試合だけでなく練習後も現地のファンからサインや写真撮影をねだられる。節制した食生活の合間、髙橋曰く「ちょっとしたご褒美」で時々足を運ぶというカフェでも、店員から「お前が来る時はいつでもごちそうするよ」と笑顔で声をかけられる人気ぶりだ。

「せっかく今、貴重な経験ができているし、いろいろな人が応援してくれるのが本当にありがたい。日本でも、パドヴァでも、自分の存在を知ってもらうことでたくさんの人がバレーボールを知ってもらえるきっかけになれたら嬉しいし、そういう存在になりたいです」

 日本から遠く離れたイタリアで、自らを磨き、勝負に挑む。充実の日々が、世界で戦う糧になることを、髙橋自身が誰より強く、信じている。

2/2ページ

著者プロフィール

神奈川県生まれ。神奈川新聞運動部でのアルバイトを経て、『月刊トレーニングジャーナル』編集部勤務。2004年にフリーとなり、バレーボール、水泳、フェンシング、レスリングなど五輪競技を取材。著書に『高校バレーは頭脳が9割』(日本文化出版)。共著に『海と、がれきと、ボールと、絆』(講談社)、『青春サプリ』(ポプラ社)。『SAORI』(日本文化出版)、『夢を泳ぐ』(徳間書店)、『絆があれば何度でもやり直せる』(カンゼン)など女子アスリートの著書や、前橋育英高校硬式野球部の荒井直樹監督が記した『当たり前の積み重ねが本物になる』『凡事徹底 前橋育英高校野球部で教え続けていること』(カンゼン)などで構成を担当

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント