連載:WBCプール展望&ライバル国分析

【WBC優勝候補分析】V候補筆頭のドミニカ共和国 サイ・ヤング賞右腕擁する投手陣とスターが並ぶ豪華な打線

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旬のスタープレーヤーがそろった豪華な打線

2021年の本塁打王ウラジミール・ゲレロJr.(ブルージェイズ)を筆頭とする強力な打線も、他国には脅威となる 【Photo by Kathryn Riley/Getty Images】

 野手陣は若くて実績のある選手が数多く選出された。2021年の本塁打王であるウラジミール・ゲレロJr.(ブルージェイズ)、20年に首位打者を獲得したフアン・ソト(パドレス)の両名が、打線の中軸を担う見込み。フアン・ソトは18年の日米野球にも出場しており、侍ジャパン相手に5試合で2本塁打5打点と国際試合でも実績を残している。この2名に加えて、昨季に打率.295、27本塁打を記録したラファエル・ディバース(レッドソックス)、ショートでゴールドグラブ賞に輝いたジェレミー・ペーニャ(アストロズ)らが名を連ねる。ペーニャは昨年のワールドシリーズでMVPを獲得しており、やはり短期決戦での勝負強さを見せた。彼らの年齢はいずれも25歳前後と、若くしてMLBの主力として活躍している旬のプレーヤーである。さらに、新人王に輝いた22歳のフリオ・ロドリゲス(マリナーズ)も爆発力を秘めた選手だ。昨季28本塁打を記録した打棒に加えて、25盗塁というスピードを兼ね備えたスター候補である。東京五輪でも打率.417をマークして銅メダルの獲得に貢献しており、今大会ではセンターのポジションを守りそうだ。

 その若手スター軍団の脇を固めるのが、MLB通算283本塁打のマニー・マチャド(パドレス)や、同154本塁打のゲーリー・サンチェス(ツインズFA)といった面々。マチャドは前回大会にも出場しているが、そのときのドミニカ共和国は優勝候補の一角でありながら、2次ラウンドで敗退する悔しさを味わっている。前回大会では6試合で6個の失策を喫するなど、守備のミスが目立った。今大会も打力を重視したラインアップが予想されるだけに、守備面での細かなミスには注意を払いたい。

日本対戦時の要注意ポイントおよび攻略ポイント

 先述の通り、ドミニカ共和国には豪腕投手が多く、日本の打者陣には速いボールへの対応力が求められる。MLBでプレーする大谷翔平、鈴木誠也、ラーズ・ヌートバーの3名はいずれも速球に強いデータが表れており、彼らの前に走者をためることができるかが得点のカギを握る。また、国内組では主砲の村上宗隆に加えて、中村悠平と中野拓夢の2人が昨季150キロ以上のボールに対して好成績を残した。中村は同条件で出塁率.593、同様に中野は打率.325をマークしており、剛速球への対策として両者をスタメンで起用する選択肢もあるだろう。

 そして、リリーフ陣は大会屈指の層の厚さを誇るが、全体的に与四球の多いタイプが並んでいる。そのため試合後半の攻撃では、際どいゾーンの見極めがより重要となる。連打はあまり望めないだけに、四球をきっかけにチャンスメークしていきたいところ。また、正捕手に予想されるサンチェスは、キャッチングの技術に難を抱えている。際どいゾーンにきたボールを審判にストライクと見せるフレーミングの指標は芳しくなく、捕逸などのバッテリーエラーも多い。代表クラスの選手が投ずるボールは捕球の難易度も高く、キャッチングのミスも起こりやすいはず。それも即席のバッテリーではなおのことだ。打席での際どいゾーンの見極めに加えて、塁上ではサンチェスのミスを突いてスタートを切る準備をしておきたい。

 守備面でも、四死球がキーポイントとなる。ドミニカ共和国は前回大会の6試合で9本塁打を記録するなど、破壊力のある打線が特徴だ。今大会も打線の上位から下位まで本塁打を打てる打者が並ぶと見られ、相手を完封することはなかなか難しい。1、2本の被本塁打はやむを得ないが、最小失点にとどめたい。そのためにも、四死球で余計な出塁を与えないことが求められる。大量失点を回避するために勇気を持ってストライクゾーンへ投げ込んでいきたい。

 第3回WBCで優勝を果たすなど、強豪国の一角を占めるドミニカ共和国。日本代表は15年のプレミア12と東京五輪でいずれも勝利を収めているものの、このときのドミニカ共和国はメジャーリーガーを中心とした編成ではなかった。意外にもWBCで両国の直接対決は過去1度もなく、今大会では決勝ラウンドから対戦する可能性がある。両国のトッププレーヤーによる、世界一の称号をかけた激突が今から待ち遠しい。

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日本で唯一のスポーツデータ専門会社。 野球、サッカー、ラグビー等の試合データ分析・配信、ソフト開発などを手掛ける。

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