吉田正尚が抜けても「全員で勝つ!」 オリックスの盤石投手陣と「響き渡る応援歌」で狙うは3連覇
投手陣のMVPは「チームブルペン全員」
今シーズンからメジャーリーグへ挑戦する吉田正尚 【写真:共同通信社】
石原 「打」はやっぱり吉田正尚選手。ここで打って欲しいというところで打ってくれた(日本シリーズ第5戦の)、あのサヨナラホームラン。置き土産のようですよね。
菊地 そうでしたね。
石原 あぁ、やっぱりすごいなって思いましたね。現地で見ていたんですけど、(5回裏に打った)1本目のライナー性のホームランが私の目の前に飛んできたんです。マンガみたいにボールに線が入っているような感じで、私の方にぐんぐんと打球が近づいてきて、「このホームランで勝ち越したら(前の回に投げていた)比嘉投手がまた勝利投手になるんちゃうん!?」とか思いながら、ボールがどんどん近づいてきて、そしたら通路を挟んで隣の席の人がホームランボールを捕ったんです。それで「あぁ、あぁーー!」って過呼吸みたいになって、一旦球場から外に出てしまいました。
菊地 (笑)。
石原 戻ってきたら次の回に逆転されていて膝から崩れ落ちました。それで最後に吉田選手が今度は逆転サヨナラホームランを打ってくれまして、なので(2022年の)「打」は、あれでもう全部吉田選手に持って行かれた感じですね。
菊地 「吉田選手の日」と言っていいくらいの独壇場でしたからね。「投」のMVPの方はいかがでしょうか?
石原 んー......全員!
菊地 (笑)。
石原 チームブルペン全員にMVPではダメですか?
菊地 確かに日本シリーズではチームブルペンの力って本当に大きかったですからね。
石原 そうなんですよ。シーズン中を振り返ると、やっぱり中嶋(聡)監督が行ったワゲスパック投手のリリーフへの配置転換が一つのターニングポイントとして大きかったと思うんですよね。
本当に申し訳ないんですけど、ワゲスパック投手は先発の時はちょっとハラハラして見ていたんです。それがリリーフになって、短いイニングを腕がちぎれるくらいに振って投げてくれるワゲスパック投手を、気がついたら絶大な信頼を持って見られるようになっていました。ですので、「投」のMVPはチームブルペン+配置転換を行った中島監督ですかね。
菊地 なるほどなるほど。「打」のMVPに選んでいただいた吉田正尚選手ですけども2023年は海を渡られるということなんですけども、新シーズンに不安はありませんか?
石原 2022年に吉田正尚選手が怪我で下がったときに、紅林(弘太郎)選手が3番を打って、ちょっと覚醒じゃないですけど活躍したんです。誰かが抜けた穴は誰かが埋めるというのがオリックスのすごいところやなと思うので、正直不安はなくて寂しさの方が大きいですね。でもいなくなった分、みんながそこを埋めるどころか、その上をいく働きをしてくれるんじゃないかなと思っています。
日本シリーズも山本由伸投手が緊急降板しちゃいましたけど、(その試合は)中継ぎ陣がなんとかしてくれましたし、次は誰がいくねん? ってなったときも山﨑福也投手がおるから絶対大丈夫って、全然心配していなかったですし。
だからすごい投手も、すごい野手もいっぱいいるので、そこはまた「全員で勝つ!」、これを崩さずにやってもらえればなんの心配もないと思っています。