連載:我がマリノスに優るあらめや 横浜F・マリノス30年の物語

03年J1完全制覇を振り返る久保竜彦「いいチームやったよ。何よりサッカーが楽しかった」

二宮寿朗
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高校時代はヘディングが嫌いだったという久保(写真右)だが、地道に練習を積み重ねていった 【(c)J.LEAGUE】

 神懸かり的な一発は、感性頼みなどではなかった。彼いわく、「練習のたまもの」。その言葉に微塵たりとも嘘はない。

 筑陽学園時代はヘディングが嫌いだった。元々は攻撃的なミッドフィルダーで、マラドーナのビデオばかり見ていた。マラドーナがやってないのに、と思いながらも吉浦監督から「コツをつかめるまでちゃんとやれ」と言われて、渋々ヘディングの練習をやり続けた。ジャンプ力、瞬発力を買われてのこと。日々繰り返すことでボールに当てるタイミングを自分なりにつかんだ。
 サンフレッチェ時代には元チェコ代表イワン・ハシェックからヘディングの技術を学んでいる。身長は176センチだが、競り合いに滅法強かった。

「俺はそのときまでボールを思い切り叩きつけるばっかり。ハシェックは当ててホワーンとコースを狙うのがうまかったんよ。バランスを崩さずにジャンプして、腕の使い方もうまい。ハシェックを見て、何度も練習したよ」

 “ホワーン”はまさにジュビロ戦で繰り出したものだった。
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著者プロフィール

1972年、愛媛県生まれ。日本大学卒業後、スポーツニッポン新聞社に入社し、格闘技 、ラグビー、ボクシング、サッカーなどを担当。退社後、文藝春秋「Number」の編集者を経て独立。 様々な現場取材で培った観察眼と対象に迫る確かな筆致には定評がある。著書に「 松田直樹を忘れない」(三栄書房)、「中村俊輔 サッカー覚書」(文藝春秋、共著)「 鉄人の思考法〜1980年生まれ、戦い続けるアスリート」(集英社)など。スポーツサイト「SPOAL(スポール)」編集長。

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