南米のベテラン記者が語る日本代表への提言と久保建英の「強烈な印象」
大切なことは監督を信じ、選手を信じること
ホセ・フェルナンド・ネイラ氏の目に森保監督の手腕はどう映ったのか? 【Photo by Maja Hitij - FIFA/FIFA via Getty Images】
W杯前には森保一監督の解任論もあった。そして直近続投が決まった際も否定的な声が少なからずあったと、あなたは言いましたね。でも私は大会を通して、森保監督は素晴らしいと思っていました。内情はもちろん分かりませんが、外から見ると全ての選手が監督と同じ方向を向いていると感じました。リーダーとしての素質を持っているのではないかと思います。実際にドイツとスペインに勝利するという結果も残しましたしね。続投が決まったからには監督を信じること、選手を信じること、プロセスをどこまで信じきれるかが大事でしょう。
また、日本は違う大陸の強豪国と数多くの試合をこなすべきだと思います。W杯でいきなり戦うというのではなく、もっと積極的に世界的強豪と対戦する機会を作ることがとても重要だと思います。ヨーロッパや南米のチームが最後に勝ちきれるのはそういった戦いを多く経験しているからだと思います。
決まったプロセスを信じ、多くのトライをしていくこと。次回のW杯で、日本のベスト8進出をぜひ現場で見たいと思います。
久保は次回のW杯で「日本を牽引する存在に」
はい。これまでしっかりとプレーを見ることはありませんでしたが、ビジャレアル時代には元コロンビア代表のカルロス・バッカの得点をアシストする場面を何度か見ています。とてもスピードがあり、賢いプレーをするという印象です。その時のインタビューでも流暢にスペイン語を話していたことで記憶に残っています。
また、スペイン語がとても上手だと分かっていたので、カタールW杯では日本のコスタリカ戦後にインタビューしました。久保はその試合に出場していませんでしたが、次戦がスペイン戦なので意気込みを聞きました。敗戦後のインタビューでしたが、快く引き受けてくれたことが印象的です。
――久保はバスクダービーでゴールを決めましたが、歴史ある一戦でのプレーはどのように感じましたか?
試合全体を通して素晴らしい働きをしたと思います。とてもスピードがあり、とても賢い選手だと改めて思いました。一人でボールを運ぶことができる推進力がありますし、チームとしての連携もとてもスムーズです。ソシエダは本当によく考えてサッカーをするクラブだと、ラ・リーガのメディアツアーに参加して改めて思いました。その頭を使ってプレーするサッカーが久保には本当に合っているのだと感じました。
ゴールに関しては、ダビド・シルバの働きが素晴らしかったのもありますが、あの場面で相手の股を抜いてニアにゴールを決めたシーンは、いちサッカーファンとして痺れましたね。初のバスクダービーでのマン・オブ・ザ・マッチで、地元ファンにも強烈な印象を与えたのではないでしょうか。
彼はこのクラブでさらに成長できると思います。そして次回のW杯では、日本を牽引する存在になっていてほしいです。そんな彼に次回はロングインタビューをしたいですね。
(取材・文:草田吉篤/スポーツナビ)