【補強診断】セ・リーグは1球団がA評価 巨人は最低評価も垣間見える「若手飛躍を見込んだチームづくり」

データスタジアム株式会社

広島 評価A

【データスタジアム株式会社】

 12球団の中でも選手の出入りが特に少なかったのが広島だ。補強はやや寂しいものとなっているが、今オフはFA権を所有していた西川龍馬と野間峻祥、堂林翔太の引き留めに成功。加えてチームトップの17本塁打を記録したマクブルームを含む助っ人4名と契約を延長しており、現有戦力の流出を防いだ点は評価したいところだ。また、今季途中にはメジャーでプレーした秋山翔吾が加わっており、新井貴浩新監督の船出は楽しみな陣容となっているのではないだろうか。

 補強選手での注目は、助っ人大砲のデビッドソン。メジャーでは2017年から2年連続で20本塁打以上をマークし、今季は3Aで32ホーマーを放った。三塁のレギュラーだった坂倉将吾が来季から捕手に専念するため、その三塁にデビッドソンがフィットするようだと、得点力は大きく向上することだろう。また、ドラフトでは投手を中心に補強している。上位で高校生を指名した一方で、3位の益田武尚をはじめに社会人出身の投手を3人指名した。近年の広島は、栗林良吏や森浦大輔といった大学や社会人出身の投手が即戦力として活躍しており、この分野のスカウティングに自信をのぞかせる。現役ドラフトで獲得した戸根千明とともに、投手力の底上げが期待される。

中日 評価C

【データスタジアム株式会社】

 今オフは積極的な動きを見せた中日。特に、2件の交換トレードは多くのファンを驚かせたに違いない。今季チーム2位のWAR3.8を記録した阿部寿樹、昨季まで遊撃のレギュラーを務めた京田の内野手2人を放出し、通算154勝を誇る涌井秀章、左のリリーバーである砂田毅樹と投手の補強に動いた。投手陣はFA権を行使する可能性があった松葉貴大に、R.マルティネスとロドリゲスら主力も残留しており、リーグ2位の防御率を記録した投手力にさらなる厚みを持たせている。

 一方の野手陣は、ドラフトや外国人といった新戦力による補強が中心となった。今季メジャーで10本塁打を放ったアキーノは主軸候補の筆頭だろう。さらに、2020年までの在籍3年間で通算打率.316、31本塁打を記録したアルモンテが復帰した。今オフは野手陣の世代交代を進める動きが活発で、来季に関しては未知数の選手が多い。先述のトレードに加えて、計算の立つA.マルティネスも退団しており、数年後を見据えたチームづくりに動いた印象だ。ドラフト2位の村松開人、同6位の田中幹也は即戦力として高い評価を受けており、今後のチームの行方を占う存在だろう。センターラインを若手で固めることができれば、長期間にわたって上位争いを演じることができるはずだ。

総括

 今オフのセ・リーグはFA権を行使した他球団選手の獲得がなかった代わりに、FA権保有選手の引き留めに成功するケースが多かった。近年はFA件取得のタイミングにあわせて所属球団と複数年契約を結ぶ選手も多く、FAに頼った補強が難しくなってきているようだ。そうした傾向の中で、中日が大型トレードを成立させたことは大きな話題を集めた。今季は開幕からここまでで計20名がトレード移籍をしており(現役ドラフトは除く)、チーム編成の手段として交換トレードが今後の球界のトレンドとなるかもしれない。

プロ野球オフシーズン情報もスポーツナビで!

 球団別のストーブリーグ情報やWBC企画を始め、野球を盛り上げるべくオフシーズンも様々なコンテンツを展開中。

 さらに、野球速報アプリなら日々更新される贔屓チームの最新情報を通知でお知らせする機能も。ぜひ今冬もスポーツナビで野球情報を!

3/3ページ

著者プロフィール

日本で唯一のスポーツデータ専門会社。 野球、サッカー、ラグビー等の試合データ分析・配信、ソフト開発などを手掛ける。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント