【補強診断】セ・リーグは1球団がA評価 巨人は最低評価も垣間見える「若手飛躍を見込んだチームづくり」

データスタジアム株式会社

楽天から中日に移籍した涌井(左)と立浪監督 【写真は共同】

 2022年も年の瀬を迎え、いよいよストーブリーブも大詰めとなってきた。今オフはFAに加え、交換トレードやメジャー挑戦などによって、実績のある選手も数多く移籍している。さらに、現役ドラフトという新制度の導入もあって、ここ数年でも選手の流動が活発なシーズンオフといえるだろう。今回のコラムでは、このオフの戦力補強を球団ごとに評価していこうと思う。

 なお評価については、A~Dの4段階で行っている。国内移籍は選手の総合的な貢献度を測る指標であるWARをもとに、ドラフト新人や新外国人はチーム状況に対して適切な補強だったかを鑑みて、総合評価とした。また、これら新戦力の詳細や来季の球団展望については、年明けに改めて特集する予定であるため、本コラムとあわせて確認してもらえるとうれしい。

※内容は2022年12月26日時点の情報をもとに執筆

ヤクルト 評価B

【データスタジアム株式会社】

 29年ぶりにリーグ連覇を果たしたヤクルト。今オフは、守護神として活躍してきたマクガフがメジャーに移籍して退団した。このほか坂口智隆ら現役引退した選手も多く、チームの世代交代が進んでいる。今秋のドラフトでも、将来性を見込んだ指名が中心となったが、1位指名で24歳の吉村貢司郎を獲得した。東芝出身の吉村はゲームメーク力を高く評価されている即戦力右腕で、1年目からローテーションの一角を務めることが期待されている。

 また、新外国人では左右の先発投手候補を加えた。左腕のピーターズは、今季メジャーで主にリリーフとして22試合に登板して5勝をマーク。緩急を駆使したピッチングを持ち味としている。右腕のエスピナルは2021年に3Aで11勝をマークした。チームは連覇を果たしたが、この間2ケタ勝利を記録した投手がいなかったため、層の薄かった先発を重点的に補強している。そしてリリーフでは、メジャー通算で243試合に登板し、奪三振率11.05をマークしているケラで穴埋めを図る。2021年にトミー・ジョン手術を経験している健康面の不安はあるものの、勝ちパターンとして期待される存在だ。今オフは12球団最多得点の打線を維持しながら、投手陣の整備に成功したといえるだろう。

DeNA 評価C

【データスタジアム株式会社】

 今季は2位に躍進したDeNA。このオフは積極的な補強を進めるというよりは、的を絞った補強に動いた印象だ。投手陣では、クローザーの山﨑康晃がメジャー挑戦の夢を封印し、チームに残留したことは明るい話題となった。さらに今季メジャーで29試合に登板したウェンデルケンを補強し、強力だった勝ちパターンをより強固にしている。

 野手陣に目を移すと、中日からトレードで獲得した京田陽太は効果的な補強となる可能性が高い。プロ6年目の今季こそ精彩を欠いたものの、1年目からショートのレギュラーとして通算700試合に出場。広い守備範囲には定評があり、ここまで大きな故障がない点も魅力だ。ショートは主にベテランの大和と20歳の森敬斗が主に起用されたが、選手層も薄くチームの弱点となっていた。28歳の京田は年齢的にも2人のギャップを埋める存在であり、将来的なチームづくりにも好影響をもたらすことだろう。一方、捕手としてチームトップの出場数を記録した嶺井博希がFAで移籍した。嶺井はレギュラーに近い存在だったもののOPS.532と打力に課題を抱えている。近年故障の多い伊藤光のコンディションにも左右されるが、戸柱恭孝との経験豊富な捕手2人体制で嶺井の穴を最小限に抑えられる可能性はあるだろう。ドラフトでは高校生No.1捕手の松尾汐恩を獲得しており、このポジションの将来的な見通しは明るいものとなっている。

1/3ページ

著者プロフィール

日本で唯一のスポーツデータ専門会社。 野球、サッカー、ラグビー等の試合データ分析・配信、ソフト開発などを手掛ける。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント