DeNA識者が感じる優勝の空気、98年の再現 鍵は「1、2番とセンターライン」
「デスターシャ」が作った優勝の空気、そして98年の再現へ
牧秀悟と佐野恵太の「デスターシャ」が2023シーズン優勝の空気を運んできた!? 【写真:共同通信社】
村瀬 僕はこういった順位予想で、心から「優勝です!」なんて言ったことは一度もないんです。優勝って口にすると、なくなってしまうような気がして。
横浜には38年に一度しか優勝できない「38年周期説」というのがありますし、いいところまで行っても最後は引き立て役で終わっちゃうということもあるし、あんまりそういうことは言いたくないんですけど、2023年は優勝なんですよ! マジで。
菊地 (笑)
村瀬 2023年は本当に揃っちゃうなっていう感じがあって。山﨑康晃が残って(優勝への)空気ができたことが大きいですし、先発陣も揃ってきたというのもありますし。
98年も大魔神がメジャー行きを封印して、結果を残してメジャーに旅立ったんですけども、山﨑が残って優勝してメジャーに行ったら本当に大魔神だなって、なんか道が続いて行っている気がしますよね。
そういう意味で、なんか星まわりが「優勝」っていうことを言っているんですよ。97年の石井一久に変わって村上選手にやられた、山﨑康晃が残ったことも含め、98年の匂いがプンプンしだしているんですよね。
実は97年には翌年の優勝に向けて、一つになるきっかけとなった出来事があったんです。それが石井一久にノーヒットノーランをされたあとの、ヤクルトとの試合なんです。
菊地 ほぅ。
村瀬 9月4日だったかな? ビハインドの展開でハマスタに雨が降り出して試合が中断しまして、ファンも(今シーズンは)惜しいところまでいったけどノーヒットノーランもやられてもうダメじゃねぇかよ、みたいな感じでフラストレーションが溜まっているので、「早くしろよ!」みたいな感じで、やけ気味になって観客先からメガホンを投げ込みだしたんです。
これは「メガホン投げ込み事件」と言われているんですけども、それをベイスターズの選手達がゴミ袋を持ってメガホンを拾いだすんですよ。「俺たちはまだ試合も優勝も諦めていない!」という姿勢をそこで見せたんです。
それでファンの人達は、自分たちは何てことをしてしまったのかと。選手達が諦めていないのに自分たちが一番始めに諦めてしまったじゃないかということを、ものすごく後悔して。翌日には「選手の皆さんごめんなさい」という横断幕が張られたんです。
それで結局、球団と選手だけでなくファンも、優勝を目指すというのはどういうことかと胸に刻み、一年間一緒に戦おうという意味で、優勝を目指すファンになったと言われているんですね。
菊地 なるほど。
村瀬 それで2022年に「メガホン投げ入れ事件」に相当するものがあったのかどうか、探したんですよ。そうしたらありました。ヤクルトに3連敗した直後ですね、OBの高木豊さんがですね、3連敗して空気が悪いなかで「『デスターシャ』(ホームラン後の選手のパフォーマンス)は不謹慎じゃないか」と投げ込んだんです。そうしたらそれが盛大に炎上したんです。
菊地 (笑)
村瀬 その炎上事件の翌日の試合で、牧選手と佐野選手が試合前に「デスターシャ」をやったんですよ。高木豊というOBの諫言があったにもかかわらず。その試合でホームランを打っても「デスターシャ」をやったんです。
なんかね、周りに何を言われようが自分たちのやることを貫くという意志の強さが見えて、そこでファンもね、優勝に向かってみんな頑張ってる、目指しているんだというふうな、一致団結した感じが見られたんです。豊さんは燃えましたけど(笑)。
でも豊さんのお陰でもう一回、一つになれた感じがありましたね。
菊地 CS直前の球団公式YouTubeに村瀬さんも出ていましたけど、そこに高木豊さんが出てきて「デスターシャ」をやられていましたよね。ベイスターズファンじゃない僕が見てても「おぉー!!」って感じになりました。
村瀬 これ、優勝の空気ですよ、正直。こんな空気なかったですから。だから来年は98年の再現になるんじゃないかなと、すごく期待しています。
菊地 では最後になりますが、2023年の開幕投手を勝手に指名するとしたら誰になりますでしょうか?
村瀬 これはもうエース今永! と言いたいんですけど。
菊地 違うんですか?
村瀬 いや、今永であるべきなんですけども、2022年は左腕4兄弟の末っ子、東(克樹)投手が開幕投手を務めて勝てなかったんです。他の3兄弟はシーズンで結果を残したのに、東投手はシーズンでもなかなか結果を残せなくて。だからもう一回東投手に出てきてほしいという思いがあるのと、あとはトミージョンから復活してくるであろう平良拳太郎投手。
東投手、田中健二朗投手を含めて「TJ兄弟」とよばれた三人のうちの、この二人のどっちかに、開幕投手に選ばれるくらいの調子の良さを見せてほしいなというふうに思っています!
菊地 まずは怪我なく、1年間無事に投げてほしいというところですね。
村瀬 そうなんですよね。そこなんですよね。このオフを本当に大事にしていただいて......はい、願っています。
菊地 村瀬さん、今日は長い時間ありがとうございました!