バドミントン男子・21歳の奈良岡が急浮上 桃田に代わる新エースへ名乗りを上げる
父子鷹で幼少期から活躍、国内で記録の山を築く
奈良岡は、父の浩さん(左)と父子鷹で幼少期から歩んできた 【筆者撮影】
浪岡高2年の18年にはユース五輪で銅、世界ジュニア選手権で銀と国際大会でも活躍を見せるようになった。幼少期から期待が大きかったため、国内ではプレッシャーを受ける立場になり、インターハイでは苦戦。3年生となった19年に初優勝を飾った。国内では、優秀な成績を挙げている有力高校生の主な進路は実業団となっているが、奈良岡は20年に浪岡高を卒業後、日本大学に進学するとともに世界のトップアスリートをマネジメントしているIMG社と契約。日大バドミントン部のチームではなく、父の指導を受ける独自の活動環境で競技を続けている。
シニアの国際大会で躍進を見せたのは、今季から。8月から9月にかけて大阪で開催されたダイハツヨネックスジャパンオープンは2回戦で敗れたが、当時世界ランク3位のアンダース・アントンセン(デンマーク)を相手にファイナルゲーム19-21までもつれる接戦を展開。世界との距離を縮めていることを示し、今季終盤の躍進につなげた。
全日本総合で初優勝を飾り、名実ともに日本のエースとなるか
今季終盤の活躍により、奈良岡の立場は「期待の注目株」から「日本のエース」に変わりつつある。それでも、まだ全日本総合のタイトルを手にしていないからなのか、プレッシャーを回避するためなのか、あるいは純粋に謙虚な姿勢からなのか、奈良岡は「あまり、エースという感覚はなくて。まだ下っ端だと思っているので。まだまだ、かなわないと思う。常に挑戦者の気持ちでやっていきたいと思っています」と自身の置かれている立場を表現した。全日本総合は、日本最強決定戦。東京五輪以降、不調に苦しみながらも復活を目指している桃田や、今夏のダイハツヨネックスジャパンオープンを制した西本拳太(ジェイテクト)、A代表の常山幹太(トナミ運輸)らもすんなりと世代交代を許すつもりはないだろう。次代を担う奈良岡が名実ともに日本のエースとして君臨するか、注目が高まる。