W杯・日本代表のドイツ対策 『5バック崩し』を凌げるか…サイドからカウンターを狙え!
ホフマン&ティーラーの仕掛けには久保の助けが必要
ドイツが『6枚目の崩し』を実践してきた場合、左サイドハーフの久保の守備でのサポートが重要になる 【写真:ロイター/アフロ】
ただし、相手は質が高いので、安々と成功するとは思えない。プレッシングをかけ切れないときは、下がって受け止める判断も必要だ。
ドイツのアグレッシブさを抑えるため、ネーションズリーグでドイツと対戦したハンガリーやイングランドは、5バックを用いた。ドイツが大胆に突こうとするスペースをあらかじめ5枚で抑えることで、彼らに横パス、手数を強いて、スローダウンさせる。これは有効なアプローチだった。
日本は4-4-2が基本だが、押し込まれると右サイドハーフの伊東純也は最終ラインまで守備に走り、5バックに近くなる。これは堂安律が入っても同じで、日本は「左高右低」でアシンメトリーにバランスを取ってきた。
最初から静的に5枚で構えるか、あるいは、ハイプレスを狙いつつ、伊東が下がって動的に5枚を作るかは、森保監督次第だが、5バックはひとつのキーワードになるのではないか。
一方、ドイツとしても、ハンガリー戦やイングランド戦で課題が出たので、5バックへの対策は行っているはず。日本戦に限らず、大会を通して課題になるなら尚更だ。
今のところ、ドイツの5バック崩しのポイントは3つある。『クロス』と、『6枚目の崩し』と、『個の突破』だ。
早めの『クロス』に対しては、日本のDF陣が充分対抗できるはず。ラウムからクロスが入ってきたとき、長友佑都の箇所はミスマッチに陥る可能性があることが気になるが、心配なら伊藤洋輝のスタメンもある。
2つ目の『6枚目の崩し』は、主にヨナス・ホフマンが右サイドハーフで出場したときに見られる傾向だ。右サイドバックのルーカス・クロスターマンやティロ・ケーラーが上がり、5バックの大外の選手に2対1を強いてくる。日本は久保建英など左サイドハーフで出場した選手が、連係して守れるか。
瞬間的に2-2-6となったドイツには隙がある
11月16日に行われたオマーンとの親善試合で代表デビューを飾った17歳のムココ。ドイツの秘密兵器だ 【写真:アフロ】
前田や浅野拓磨が外に流れ、鎌田や久保も追い越し、後半には三笘薫も……といった具合にサイドでスピードを上げれば、逆に日本のチャンスになる可能性もある。
正直、一番厄介なのは3つ目の『個の突破』だ。ジャマル・ムシアラら、俊敏性に長けたドリブラーが、個で脅威を与えてくるのだ。ひとりで完結する分、3-2-5あるいは2-3-5のバランスが維持され、日本がボールを奪ってもスペースを見つけられず、丸いボールがドイツに取り囲まれてしまう。
ネーションズリーグでドイツと対戦したイングランドは、個の仕掛けに対応できず、PKを与えてしまった。日本もそれは怖いので、ここは安定感抜群の長友の1対1に頼るべきか。いや、しかしクロスに対しては……難しいところだ。
一方、ドイツは今大会の26名の増枠分に、サプライズで17歳のユスファ・ムココ、マリオ・ゲッツェ、ニクラス・フュルクルクといった攻撃的な選手を入れた。ムココは上記で言うところの主に3つ目、ゲッツェは2つ目、フュルクルクは1つ目に当てはまる。5バック崩しを意識した人選に思えるので、こちらも警戒必須だ。
つまるところ、日本が狙うべきは、第1にクサビのインターセプトからのショートカウンター。第2に、そのプレスが掛かり切らないときは、5バックへのスムーズな移行。第3に、ドイツの5バック崩しを防ぎ切ってサイドからカウンター。この辺りが試合の要点になるのではないか。
もちろん、こうした本流ではなく、支流が試合を決定付けることもたびたび。セットプレーだ。「ディテールが勝敗を決める」とは、元代表監督である岡田武史氏の口癖だが、日本が初戦でサプライズを起こせるか否かは、準備の精度にかかっている。
日本代表の予想スタメン 【YOJI-GEN】
ドイツ代表の予想スタメン 【YOJI-GEN】