SHO-TIME 大谷翔平 メジャー120年の歴史を変えた男

投手・大谷が仕掛ける“さまざまな罠” 同僚の証言「もう一つ、おもちゃが増えた」

ジェフ・フレッチャー
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先発登板した大谷翔平と試合中に会話を交わすカート・スズキ 【写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ】

 右腕投手のアレックス・カッブは、2021年のエンゼルスでメジャー生活10年目を迎えていた。激動の選手生活のなかで、いろいろなものを現場で目撃してきた。カッブは23歳のときにタンパベイ・レイズで注目の新星としてメジャー昇格を果たし、27歳でトミー・ジョン手術を受け、その後、復活して30歳のときにボルティモア・オリオールズと5,700万ドルの契約を勝ち取り、33歳のときにエンゼルスへ放出された。

 カッブは対戦相手としての大谷翔平はそれほど意識したことがなかったが、いざ同じユニフォームを着ると、すぐ大ファンになった。シーズンに入って数カ月、カッブは大谷の存在を別の意味でありがたく感じるようになった。

 カッブによると、ある日、大谷がまるでかつての速球の勢いを失ったベテラン投手がやるように、対戦相手にさまざまな罠を仕掛けていることに気づき感銘を受けたのだという。ただ、特筆すべきは大谷にはまだ豪速球があるということだ。カッブが語る。

「あいつは本来、優れた身体能力を備えた投手だよ。なのに球速だけに頼るのではなく、配球まで見事にやっている。今後どうなるか楽しみだし、恐ろしくもあるよ。今回が、メジャーで投手として1年通して投げる初めての年だろ。ああいうふうに打者を手玉にとれるようになるまでは、普通、時間がかかるものなんだ。多くの投手がそうしようとしているけど、この配球と投球術を組み合わせることができれば、リーグでもトップ5に入る投手になるね」
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