打順別・最強打者は誰だ!?<1番打者編>

1巡目指名は現役、それともレジェンド!? 谷繁元信と岩本勉が「1番打者ドラフト」開催!

柴山高宏(スリーライト)

谷繁元信と岩本勉が歴代最強の1番打者を5人選出する 【スポーツナビ】

 野球解説者の谷繁元信と岩本勉は4月4日、「1番打者」をテーマにオンライン対談を行った。本稿では、スポーツナビのYouTubeチャンネルで4月21日から27日にかけて公開した番組「最強の1番打者ドラフト会議」(全3回)のハイライトを紹介しよう。

右肩上がりで急成長した山田哲人

 スポーツナビ野球編集部では4月上旬、「最強の1番打者」に関するアンケート調査を行い、1万5,000人以上の野球ファンから回答を得た。その結果は、4月18日から20日にかけて「ファンが選ぶ最強1番打者ランキング」昭和OB編、平成OB編、現役編として公開した。皆さんが最強だと思う1番打者は、果たして何位にランクインしているだろうか。

 野球ファンへのアンケート調査と並行して、球界OBの谷繁元信と岩本勉に取材を依頼。同調査と同じ現役、OB合わせて174人のノミネート選手の中から、両氏が最強だと思う5人を「ドラフト会議」形式で選んでもらった。本家との違いは、指名選手が被った際は抽選(くじ引き)ではなく、「激アツのじゃんけん大会」(岩本)の勝敗によって決まるということだ。

唯一のトリプルスリー複数回達成者・山田哲人 【写真は共同】

 谷繁が1巡目で指名したのは、ヤクルトの山田哲人だ。高校野球の名門・履正社高出身の山田は2010年秋のドラフト会議で、外れの外れ1位でヤクルトに入団。14年に打率.324、193安打、29本塁打、15盗塁、74四球、出塁率.403、長打率.539をマークし、打撃が開眼。15年、16年と2年連続でトリプルスリーを達成すると、18年にも再び達成。プロ野球史上唯一の、複数回のトリプルスリー達成者だ。

「3割、30本、30盗塁できる1番打者はそうはいない。出てきた頃からの右肩上がりの成長スピードも凄かった」と谷繁は感嘆する。20年以降は3番を任されることが増えた山田は、4月2日のDeNA戦で通算250本塁打を達成。ヤクルトでは池山隆寛とバレンティンに次ぐ、3人目の快挙だ。

 山田の魅力は本塁打もさることながら、盗塁成功率にもある。昨シーズン終了時点の盗塁数は180で、盗塁死は31。85.3%という、非常に高い盗塁成功率を誇る。また、現時点の出塁率の通算記録は.393と4割に迫り、「絶好調の山田が、その日の対戦で最も多くなる1番で出てくるのはきつかった」と谷繁。まさに「捕手泣かせの1番打者」(岩本)だ。

スイッチヒッター初のトリプルスリー達成者・松井稼頭央 【写真は共同】

 一方、岩本が1巡目に指名した選手もまた、トリプルスリー経験者の松井稼頭央(西武ほか)だ。93年、PL学園高からドラフト3位で西武に入団。95年に69試合に出場し、打率.221、45安打、2本塁打、21盗塁と頭角を現すと、翌96年にはショートに定着。MLBに移籍する03年まで全試合に出場し、97年から99年まで3年連続で盗塁王に、99年と02年には最多安打のタイトルを獲得した。

 04年に鳴り物入りでMLBに移籍。日本人内野手初のメジャーリーガーとして、10年までメッツ、ロッキーズ、アストロズの3球団でプレーした。11年に楽天に入団して日本球界に復帰すると、13年には楽天初の日本一に貢献。18年に古巣・西武に移籍して現役を退いた。

 走攻守の全てに優れた選手の呼称「5ツールプレイヤー」を欲しいままにする松井が、1番打者としてキャリアハイの成績を残したのは、西武時代の02年。打率.332、119得点、193安打、33盗塁、長打率.617、出塁率.389の成績を残して、スイッチヒッターとして史上初となるトリプルスリーを達成。長打率と出塁率を合わせた指標「OPS」は驚異の1.006に及んだ。

 番組で岩本は松井から先頭打者本塁打を打たれ、内野スタンドのファンから手痛いヤジを浴びたエピソードを披露する。そんな松井の先頭打者本塁打の通算記録は26本で、これは歴代6位の記録。ちなみに、1位は“世界の盗塁王”福本豊の43本だ。

初出場の97年のオールスターで古田敦也から4盗塁。足でファンを魅了した松井稼頭央 【写真は共同】

 松井稼頭央の名勝負を語るとき、初出場となった97年のオールスターで見せた盗塁を挙げるファンは多いのではないだろうか。盗塁阻止率が高い古田敦也から、1試合で4盗塁と走りまくってMVPを獲得。「古田さんとの対戦をファンのように楽しませてもらった」と語る岩本に対し、谷繁はオールスターならではの投手心理を語り、それが捕手をイライラさせると言う。谷繁が語る、思わず膝を打つこと請け合いのオールスターの“捕手あるある”の詳細は、本稿ではあえて伏せておこう。ぜひ、番組を観てほしい。

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