連載:2022年プロ野球・新人王は誰だ!?

セ・リーグ ルーキー即戦力度ランキング 1位にドラフト5位の本格派右腕

西尾典文

8位:中村健人(トヨタ自動車→広島3位/外野手)

3月8日の阪神戦で、オープン戦初のマルチ安打をマークするなど、広島の中村健人は「開幕ライト」に向けて順調にアピールを続けている 【写真は共同】

 パンチ力が光る強打の外野手で、慶応大では4年秋に極度の不振に陥り指名漏れを経験したものの、東京六大学リーグ通算8本塁打を放った。

 トヨタ自動車では2年目の昨年、不動の4番に定着。都市対抗の東海2次予選第3代表決定戦では試合を決める満塁弾を放ち、チームを本戦出場に導いた。打撃は調子の波があるものの、広角に大きい当たりを打てるのが持ち味で、外野守備と脚力もレベルが高い。鈴木誠也の抜けた外野の一角を狙うが、同じルーキーの末包昇大(大阪ガス→ドラフト6位)と比べても、確実性と打撃以外のプレーで上回り、ライバルを一歩リードしている印象だ。

7位:大勢(関西国際大→巨人1位/投手)※本名は翁田大勢

巨人のドラフト1位ルーキー、大勢は160キロに迫る剛球が最大の魅力だ。首脳陣は中継ぎでの起用を考えており、将来的にはクローザーも託せそうだ 【写真は共同】

 変則フォームから繰り出す勢い十分のストレートが武器の本格派右腕。西脇工時代はオーソドックスなオーバースローで、当時から140キロ台中盤のスピードをマークしていたが、大学でサイド気味のフォームに変更し、体つきも大きくなったことでさらにストレートの威力が増した。

 好調時は150キロを超えることも珍しくなく、3月6日のオープン戦では自己最速を更新する158キロも記録している。変化球のコントロールに課題が残るだけに、先発ではまだ苦労しそうだが、短いイニングであれば球威で圧倒することも可能だろう。

6位:丸山和郁(明治大→ヤクルト2位/外野手)

ヤクルトの新人で唯一1軍キャンプに抜擢された丸山和郁は、走攻守の三拍子が揃った外野手。「ポスト青木宣親」として1年目から結果を残せるか 【写真は共同】

 抜群の運動能力を誇るアスリートタイプの外野手で、前橋育英時代は2年夏から3季連続で甲子園に出場し、3年夏には大会最多タイ記録となる8盗塁もマークした。

 明治大では故障に苦しんだ時期もあったが、4年時には春秋連続で3割を超える打率を残し、2季連続でベストナインも受賞。走塁に関してはトップスピード到達までが速く、相手守備の隙を突いて次の塁を狙う判断の良さも光る。4年秋に放った12安打のうち5安打が長打とパワーもついてきた。また高校時代は投手も兼任しており、肩の強さも申し分ない。「ポスト青木宣親」としての期待が大きいルーキーだ。

5位:黒原拓未(関西学院大→広島1位/投手)

2月の練習試合・巨人戦で、圧巻の三者連続空振り三振。関西大学球界のナンバー1サウスポー、黒原拓未には昨年の森浦大輔のような活躍を期待したい 【写真は共同】

 関西の大学球界ではナンバー1の呼び声も高かった本格派サウスポー。上背はないものの、全身を使った躍動感のあるフォームから繰り出すストレートは、コンスタントに145キロを超える。

 下級生の頃はコントロールが課題だったが、最終学年になってまとまりも出て、4年春には8試合に登板して5勝1敗、防御率0.70という圧倒的な数字を残した。長いイニングだと少し球威が落ちるだけに、プロではまずリリーフで勝負するべきだろう。昨年のルーキー、森浦大輔のように、左のセットアッパー候補として開幕1軍入りを目指したい。

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著者プロフィール

1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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