連載:2022年プロ野球・新人王は誰だ!?

セ・リーグ ルーキー即戦力度ランキング 1位にドラフト5位の本格派右腕

西尾典文

4位:赤星優志(日本大→巨人3位/投手)

巨人・赤星優志の一番のセールスポイントは制球力だ。3月6日の日本ハムとのオープン戦では3回1失点2奪三振の好投で首脳陣にアピール 【写真は共同】

 制球力に定評のある実戦向きの右腕。日本大時代は東都大学リーグ2部でプレーした時期が長かったが、初の1部での登板となった4年秋も、開幕からいきなり連続完封勝利を挙げるなど、実力の高さを証明した。

 コーナーいっぱいに投げ分けるコントロールは、間違いなくプロでも上位のレベル。スライダー、ツーシームと対になる変化球を操り、テンポ良く打者を打ち取る。ストレートのアベレージが少し低いのは気がかりだが、勝負どころでは150キロ近いスピードボールも投げ込む。オープン戦では順調にアピールを続けており、開幕ローテーション入りも期待できそうだ。

3位:桐敷拓馬(新潟医療福祉大→阪神3位/投手)

ガンケルの故障もあって、阪神の開幕ローテーション入りが確実視される桐敷拓馬(写真左)。ストレートに驚くような速さはないが、強気の投球が持ち味だ 【写真は共同】

 本庄東高時代は無名の存在で、大学でも全国大会出場の経験はないが、4年秋には関甲新学生リーグで19奪三振を奪って完全試合を達成するなど、地方大学リーグを代表するサウスポーに成長した。

 ストレートは140キロ台前半から中盤で驚くような速さはないが、右打者にも左打者にも厳しく内角を攻められる強気の投球が特長だ。ストレートと同じ軌道から鋭く変化するスライダー、ツーシームもハイレベルで緩急の使い分けも上手い。キャンプから首脳陣の評価は急上昇中で、開幕ローテーション入りの可能性は十分だ。

2位:石森大誠(火の国サラマンダーズ→中日3位/投手)

九州アジアリーグの火の国サラマンダーズから中日に3位指名された石森大誠。石川・遊学館時代の控え投手が、その後の成長で即戦力候補と呼ばれるまでに 【写真は共同】

 最速155キロを誇るリリーフタイプの本格派サウスポー。遊学館では控え投手だったが、大学、社会人、独立リーグで年々力をつけてNPB入りを勝ち取った。

 昨年発足した九州アジアリーグでは絶対的な存在で、ソフトバンクの3軍相手にも好投。ストレートはコンスタントに150キロを超え、決め球のスライダーとフォークも打者の手元で鋭く変化し、空振りを奪える。時折制球が乱れる点は課題だが、ボール自体は間違いなく1軍レベルのクオリティと言っていい。左右こそ違うものの、FAで抜けた又吉克樹(現ソフトバンク)の穴を埋められる逸材だ。

1位:松本竜也(Honda鈴鹿→広島5位/投手)

広島の松本竜也(左)は、3月8日の阪神とのオープン戦で1イニングを3人で抑え、開幕1軍入りに前進。順調に行けば守護神・栗林良吏へつなぐ役割を託せる 【写真は共同】

 ドラフトでは下位指名(5位)となったが、一昨年は1位候補との評価もあった“隠れた実力者”である。智辯学園時代から制球力には定評があり、社会人の4年間で着実にスケールアップを遂げた印象だ。

 ドラフト後に行われた都市対抗では補強選手として全3試合に登板し、いずれも無失点と見事な結果を残した。リリーフであればストレートはコンスタントに140キロ台後半をマークし、カットボールやチェンジアップなど変化球のレベルも高い。1年目からセットアッパー候補として期待がかかる本格派右腕で、順調に行けば抑えの栗林良吏につなぐ役割を担えるだろう。

(企画構成:YOJI-GEN)

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著者プロフィール

1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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