7年前にロコ「世界一」を確信していた石崎琴美 ベテランの献身であと一歩、4年後は?

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代打で参加した大会で確信

ロコ・ソラーレの強みはコミュニケーション力の高さ。それを知る石崎は必要なときに声をかける 【写真:エンリコ/アフロスポーツ】

 吉田知那美は準決勝の後「夢にも見たことがない」と決勝への思いを明かしていたが、石崎は全く逆の考えだった。ロコ・ソラーレに加入したときから決勝進出、メダル獲得は想像できていたか? この質問に真顔で「はい! 想像はしていました」と即答。思わず横にいた吉田知那美から笑い声がこぼれた。
 
 石崎が初めてロコ・ソラーレのメンバーとして戦ったのは正式加入の5年前、15年にカザフスタンで行われたアジア・パシフィック選手権までさかのぼる。現在の体制になって2シーズン目、本橋が産休に入ったことで“ピンチヒッター”として参加。ここで選手たちを見て「このチームはいつか絶対に世界一になる」と確信する。技術力、姿勢、向上心……。五輪2大会などを経て世界のレベルを肌で知るからこそ感じた。そして正式加入後、選手たちのもうひとつの強みにも気づく。

「このチームって、(1本の)ショットを決めることよりも、コミュニケーションを大切にした方が逆にショットが決まる」

 負ければ準決勝が大きく遠のく17日の米国戦後に語っているように、ロコ・ソラーレの強みは4人のコミュニケーション力。その輪を崩さず、必要なときに声をかける姿勢が石崎の役割であり、時に藤沢を「ハッとさせる」言葉もかけたという。

「オリンピックは本当にプレッシャーがかかっているので、1人じゃ頑張れないことも4人一緒だったら頑張れると思う。そういうところを自分一人で抱えないで、負のものは分散して、良いものは4人でプラスに変えていけば」と心遣いも明かしていた。

 石崎の言葉で印象的なものはあるか? 鈴木は「100個くらいあって言い切れないです(笑)」と笑顔で振り返り、他のメンバーを和ませ、藤沢は「琴美ちゃんと目が合った瞬間の安心感にいつも助けられています。言葉以上に存在に助けられていて……。いつもありがとう」と最後は目をうるませながら語った。

一歩一歩の先に4年後も!?

4年後、金メダルへの期待が高まるが、選手たちは目の前の目標を口にする 【写真:松尾/アフロスポーツ】

 銅、銀と来れば26年のミラノ・コルティナダンペッツォ五輪で金メダルを、というのは日本の誰もが想像するサクセスストーリーだが、選手たちはまず次の目標を口にする。

「今まだシーズンも終わってないのでまた一つ一つという感じです」(吉田夕梨花)
「世界選手権やグランドスラムも大事、それらで優勝したいという思いや最強の試合をしたいという気持ちもある」(鈴木)
「明日、明後日、来週と日々自分たちを更新し続けることをすれば、またもしかしたら、4年後この場所に」(吉田知那美) 
「手の届くところまで来た金メダルを触ることができなかった。今後のことをしっかり考えながら次の4年間を過ごしたいです」(藤沢)
 
 ロコ・ソラーレは石崎の“確信”まであと一歩で終わった。国内のレベルも上がり、昨年9月の代表決定戦では北海道銀行フォルティウス(現フォルティウス)に崖っぷちまで追い詰められるなど、世界の大舞台に立つのも簡単ではない。だが、選手たちが日々成長を続けていけば、今度こそ表彰台の一番上で笑顔にあふれた選手たち、そして石崎の姿が見られるかもしれない。

(取材・文:石橋達之/スポーツナビ)

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