高木美帆、女子500mは「笑顔満開の銀」 挑戦者としての滑りを勅使川原郁恵が解説

C-NAPS編集部

女子1500メートルに続き、500メートルでも銀メダルを獲得した高木。挑戦者として臨んだ500メートルでの表情は、晴れやかだった 【写真は共同】

 13日、北京五輪のスピードスケート女子500メートルが行われ、同種目では五輪初出場の高木美帆(日体大職)が37.12秒で1500メートルに続いて銀メダルを獲得した。2018年平昌五輪の同種目の金メダリストで、連覇が期待された小平奈緒(相沢病院)は38.09秒で17位。2大会連続での出場となった郷亜里砂(イヨテツク)は、37.983秒で15位だった。

 得意種目である1500メートルで銀メダルだったことに悔しさを露わにした高木だったが、500メートルでの銀メダルでは喜びを爆発させた。同じ色のメダルでも、なぜこうも反応が違うのだろうか。また、「出場するかどうかを本気で考えた」とも語る500メートルで、自己ベストを更新する快走を見せられた要因は何なのか。長野、ソルトレイク、トリノと3大会連続で五輪に出場し、ショートトラックやスピードスケートの解説・リポーターも務める勅使川原郁恵さんに、高木の滑りを解説してもらった。

追い風となった滑走順とプレッシャーの度合い

プレッシャーの少ない500メートルでは、伸び伸びとした滑りで自己ベストを更新した高木 【写真は共同】

 高木選手が平昌五輪では出場していなかった専門種目ではない500メートルで銀メダルに輝いた要因は、2つあると考えます。1つは滑走順とコースです。世界記録を保持している1500メートルは最終の15組目でしたが、500メートルでは序盤の4組目でした。滑走順は国際スケート連盟によるオリンピック特別参加資格のクラス分け(SOQC)によって決まりますが、タイムが速い選手が後の滑走順になるわけです。4組目だとコースの氷もいい状態ですし、滑りやすさを感じていたと思います。

 また、高木選手がアウトスタートだった点も大きいですね。アウトスタートは、バックストレート(内側と外側のレーンを入れ替える交換区域)において追いかける展開となります。同組のインスタートは、4位だったバネッサ・ヘルツォーク選手(デンマーク)ですが、非常にスタートが速い選手でしたね。ヘルツォーク選手を追いかける展開になることで、高木選手も必死に食らいつこうと加速できたと思います。滑走順とコースは、高木選手にとってプラスに働きましたね。

 2つ目のポイントとして挙げたいのは、プレッシャーの度合いです。同種目では前回大会で金メダルを獲得している小平選手がもっとも注目されていました。そのため、優勝候補筆頭として自身に金メダル獲得の至上命題を課した1500メートルとは、違う心持ちでレースに臨めたはずです。いわば「挑戦者としての滑り」に徹していましたね。過度なプレッシャーを感じることなく、伸び伸びと自分の滑りに集中できた点は自己ベスト更新の快走にもつながったと思います。

 先に説明しましたが、持ちタイムが速い選手はレースの終盤に登場します。そのため、他の選手のタイムを気にしなくて済みました。「タイムとの戦い」をせずに、いかに「自分のベストを尽くせるか」に集中できた点は大きいですね。高木選手にとって、渾身の滑りができたように思えます。だからこそ、1500メートルの際とは反応がまるで違かったのでしょう。得意種目ではなかった500メートルでも銀メダルが獲れたことで、残りの1000メートルや団体パシュートに臨むうえでも自信になったはずです。

1/2ページ

著者プロフィール

ビジネスとユーザーを有意的な形で結びつける、“コンテキスト思考”のコンテンツマーケティングを提供するプロフェッショナル集団。“コンテンツ傾倒”によって情報が氾濫し、差別化不全が顕在化している昨今において、コンテンツの背景にあるストーリーやメッセージ、コンセプトを重視。前後関係や文脈を意味するコンテキストを意識したコンテンツの提供に本質的な価値を見いだしている。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント