高木美帆、女子500mは「笑顔満開の銀」 挑戦者としての滑りを勅使川原郁恵が解説

C-NAPS編集部

連覇が期待された小平は17位、郷は15位という結果に

平昌五輪・金メダリストの小平は17位だった。ケガを克服して五輪に戻ってきたその勇姿を称えたい 【写真は共同】

 一方、平昌五輪で金メダルを獲得し、連覇が期待された小平選手は17位でしたね。結果は振るいませんでしたが、彼女が背負っていたプレッシャーは並大抵のものではなかったと思います。スタート100メートルで出遅れた影響もあり、ベストとは言えない硬い滑りだったように見受けられました。

 金メダル以上の結果はありませんので、期待に応えるためには連覇しかありません。女王ゆえの苦悩やプレッシャーが心理面に与えた影響は少なくないでしょう。また、高木選手やヘルツォーク選手らがレース序盤で好タイムを出していたのも重圧になったのかもしれません。「いいタイムを出さないと勝てない」という状況に追い込まれたのも、本来の滑りを見せられなかった一因になった可能性があります。

 しかし、股関節に不安要素がありながらも、ケガを乗り越えて再び五輪のスタートラインに立った小平選手の勇姿には拍手を送りたいですね。小平選手は本当にスケートが好きで、真面目で素直な頑張り屋の選手です。ケガに苦しみながらも、辞めずに諦めずに練習を続けてきました。真摯に競技に取り組んできただけに、「もっとやれたはず」と悔いが残る結果にはなったかと思います。でもまだ1000メートルが残っているので、そこですべてを出し切ってほしいですね。

 開会式で日本選手団の旗手を務めた郷選手は、15位で今大会を終えました。スタートの滑りはいい感じでしたが、低い姿勢を保てずに体が浮いてしまっていたのは惜しいところですね。郷選手はスタートの速さとコーナーリングの上手さに定評がある選手です。山梨学院大時代はショートトラックとスピードスケートを両立していて、私も試合で対戦した経験があります。ショートトラックで培ったコーナーリングなどを武器に、悔いが残らない滑りだったのではないかと思います。

15日にはパシュート準決勝を控える日本女子

予選では五輪新記録を樹立した日本。15日には準決勝、決勝が行われるだけに、総合力で2連覇を成し遂げたい 【写真は共同】

 今後もスピードスケートの種目が行われますが、個人戦の1000メートルでは、500メートルにも出場した高木選手、小平選手の両名に期待したいですね。高木選手は体が非常によく動いていて、のびやかに低い姿勢で氷をとらえられています。次もメダルが狙えるはずです。また、500メートルで結果を出せなかった小平選手は、次にすべてを懸けてくるでしょう。500メートルとは違った結果になることを期待しています。

 団体のパシュートに関しては、予選で五輪新記録を出すなど、素晴らしい仕上がりを見せていますね。練習でも調子の良さをアピールしていたので、次の準決勝を順当に勝ち上がって連覇を成し遂げてほしいです。今の調子を見ていたら、少なくともメダル獲得はかなり手堅いとは思っています。

勅使川原郁恵(てしがわらいくえ)

【写真:スポーツビズ】

1978年10月27日生まれ、岐阜県出身。中学2年で全日本選手権に総合優勝し、高校1年から5連覇を達成。また、世界ショートトラックジュニア選手権においては日本人として唯一、総合優勝を果たす。五輪には長野、ソルトレイク、トリノと3大会連続で出場し、個人・リレーで入賞するなど長く日本の中心選手として活躍した。引退後は、ショートトラックの解説・リポーターをはじめ、さまざまなスポーツに挑戦し、その分野で資格を取得。特にテレビ出演をきっかけにウォーキングでも認知度を高め、年間多数のイベントに出演する。現在は22もの資格を武器にヘルスケアスペシャリストとして幅広く活動中。

2/2ページ

著者プロフィール

ビジネスとユーザーを有意的な形で結びつける、“コンテキスト思考”のコンテンツマーケティングを提供するプロフェッショナル集団。“コンテンツ傾倒”によって情報が氾濫し、差別化不全が顕在化している昨今において、コンテンツの背景にあるストーリーやメッセージ、コンセプトを重視。前後関係や文脈を意味するコンテキストを意識したコンテンツの提供に本質的な価値を見いだしている。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント