平野歩夢が二刀流の恩恵を受けた「着地」 スノボHP予選・決勝展望を野上大介が解説

久下真以子

トリプルコーク1440は「仕掛けるタイミング」に注目

日本選手にとって最大のライバルになるのがジェームズ。世界選手権3連覇の実績を誇る強敵だ 【Photo by Patrick Smith/Getty Images】

 11日の決勝では、多くの選手がトリプルコーク1440(縦3回転横4回転)を仕掛けてくるでしょう。金メダルを狙う日本選手たちの最大のライバルになるのは、予選2位通過で金メダル候補のジェームズ選手です。彼も勝負どころでトリプルコーク1440を出してくるとは思いますが、完成度は未知数なので、そういう意味では歩夢選手に分があると思います。

 また、過去3大会で金メダルを獲得し、今大会限りでの引退を表明している35歳のショーン・ホワイト選手にも注目です。予選の1本目ではミスがありましたが、しっかり2本目で4位につけてきたのはさすがの一言ですね。五輪の前にケガや新型コロナウイルスに感染した影響で、まだすべてを出し切ってはいないであろう点が非常に不気味に感じる存在だと言えます。

 決勝を観戦する上でのポイントは、選手たちがトリプルコーク1440をそれぞれ「どのタイミングで出してくるか」ですね。限られた滞空時間の中で回転数を稼ぐには、踏み切りでしっかり力を伝えなければなりません。でもその分、着地時にブレが出やすく転倒につながりやすいので、滑走の序盤で仕掛けるのは非常にリスキーなんですよ。

 ジェームズ選手はおそらく最後のほうだと思うんですけど、日本の選手たちがどこで出してくるのかをチェックしてみてください。戸塚選手も本来の力を発揮すればトリプルコーク1440を成功できる実力のある選手ですし、ベストを出せれば限りなく金メダルに近い選手なので、日本人の表彰台ワンツーも可能性が大いにあると言えそうです。

野上大介(のがみだいすけ)

野上大介(のがみだいすけ) 【写真:BACKSIDE編集部】

1974年、千葉県生まれのスノーボードジャーナリスト。大学卒業後、全日本スノーボード選手権ハーフパイプ大会に2度出場するなど、複数ブランドの契約ライダーとして活動。2004年から世界最大手スノーボード専門誌の日本版に従事し、約10年間にわたり編集長を務める。その後独立し、2016年8月に『BACKSIDE』をローンチ。X GAMESや五輪など、スノーボード競技におけるテレビ解説やコメンテーターとしての顔も持つ。

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著者プロフィール

大阪府出身。フリーアナウンサー、スポーツライター。四国放送アナウンサー、NHK高知・札幌キャスターを経て、フリーへ。2011年に番組でパラスポーツを取材したことがきっかけで、パラの道を志すように。キャッチコピーは「日本一パラを語れるアナウンサー」。現在はパラスポーツのほか、野球やサッカーなどスポーツを中心に活動中。

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