連載:プロ野球みんなの意見

クライマックスシリーズは必要?不要? プロ野球ファンの意識調査結果を発表!

前田恵

CS続行派のファンの声を紹介

10年、パ・リーグ3位の千葉ロッテはCSを勝ち上がり、中日との日本シリーズを制して日本一に。7試合中3試合が延長にもつれる熱戦だった 【写真は共同】

 ここからは、ファンの意見を紹介しよう。まずは「CS不要論」反対派(=CS続行派)から。

「シーズン終盤まで野球が盛り上がるから!」

 筆者は日本シリーズ当日、パ・リーグの数チームがまだ消化試合を淡々と戦っていた時代を知っている。昔はドーム球場がなかったため、雨天中止試合の数が多かったのだ。スタンドではファンが日本シリーズのラジオ中継を聴いていた。そのスタンドは当然のように閑古鳥が鳴いていて、実にむなしい光景だった。

「下剋上があるのが面白いからあっていいと思う」

「ロッテファンなので、CSはあったほうがいい(笑)。でも、リーグ優勝の意味が薄れやすいのも気になる」


 これはロッテファンの切実な思いだろう。逆に18年、19年と2年連続でリーグ優勝を果たしながら日本シリーズ進出を福岡ソフトバンクに阻まれた埼玉西武ファンも、

「西武ファンとしては2年連続優勝ながら日本シリーズに出られない悔しさを味わったが、単純なプロ野球としての面白さを高めるにはCSは必要だと思います」

と、悔し涙を拭いながら反対票を入れてくれた。

「CSは短期決戦の面白さがある」

「興行面、ファンから見ても消化試合を少なくするため必要。ただし上位チームのアドバンテージはもっと多くすべき」


 球界全体にメリットがあり、ファンもリーグ戦とは違った野球を楽しむことができる。これはCSの存在意義として、非常に大きなウエイトを占める部分だ。

「長いリーグ戦を戦い抜く力と短期決戦を勝ち抜く力を兼ね備えたチームが称賛されるべき。消化試合が減る」

 7年の在任中CSを5回制し、すべて日本一に輝いたソフトバンク・工藤公康前監督は、シーズン終盤からすでにCS以降の短期決戦を想定した起用、準備をしていたという。“短期決戦に強い”とひと言では言えない監督の力量が、結果につながったわけだ。

CS廃止派のファンの声を紹介

高津臣吾監督の「絶対大丈夫」を合言葉に、セ・リーグ優勝、CS通過を果たし、日本一になった東京ヤクルト。オリックスとの日本シリーズは見応えのある試合の連続だった 【写真は共同】

 続いて、「CS不要論」賛成派(=CS廃止派)のファンの意見を紹介しよう。

「12球団しかないのに、シーズンで優勝したチームがシリーズに出れないってモヤモヤする」

「CS不要論」に賛成したファンの意見に散見された言葉が、“モヤモヤ”だ。このモヤモヤの正体は、つまるところこういうことなのだろう。

「1年の苦労が無駄です」

「シーズンの価値を下げる」


 確かに、レギュラーシーズン143試合、山あり谷ありの結果が、CSの数試合でひっくり返ってしまっては、ファンだけでなく選手たちもたまらないと感じているかもしれない。

「今年の日本シリーズ、盛り上がったよね。それが全てじゃない? やっぱりリーグを代表して戦うのは1年間戦って1番強かったチームが出るべき。他ファンでもリーグ代表のチームは素直に応援できる」

 直球ど真ん中のご意見だ。今季は両リーグとも前年最下位のチームがリーグ優勝を果たし、CSを勝ち抜いて日本シリーズで戦った。昔だったら「地味なチーム同士の日本シリーズ」とも揶揄(やゆ)されかねないが、東京ヤクルトとオリックス、拮抗(きっこう)したチーム同士の試合は緊張感に満ちていて、野球のおもしろさを改めて知らしめてくれたシーズンだった。

「たかが6チームしかないのにする必要なし」

「今のチーム数だと、上位3チームは多いと思います。2チームでやるなら賛成。16球団にするなら、3チームでやるべき」

「3位までが日本一になれる可能性があるのは、納得がいかない。CSをやるなら3地区に分けて各地区の優勝プラス2位の勝率の高いチームの4チームで日本一を争う形にしてほしい」


 こうした改革案付きのコメントはCS廃止派、続行派問わず多かった。改革を求めるポイントとしては、「1位と10ゲーム差以上離れたチーム」や「勝率5割を切ったチーム」にそのままCSへの参加資格を与えていいのか、というモヤモヤの解消にある。必ず上位3チームにCSへの出場権を与えるのでなく、一定の成績以下は足切り、もしくはレギュラーシーズンでの成績により、上位チームにさらなるアドバンテージを与えた方がいいのではないかというファンの声は多数挙がっている。

 一方、NPBに先駆けポストシーズンゲームを採用しているMLBでは、プレーオフに進むチームが全30球団中の10球団であることに対し、日本は12球団中の6球団。

「今のチーム数だと上位3チームは多い」

との意見も相次いだ。球団数絡みの改革案は、12月27日に公開予定のテーマ「16球団構想」につながるので、ぜひそちらもご覧いただきたい。

 最後にCS続行派、廃止派問わず、全てのプロ野球ファンの本音を代弁したファンの声を紹介して、本稿の結びとしたい。

「応援している球団の試合は、1試合でも多く観たい」

(構成:スリーライト)

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著者プロフィール

1963年、兵庫県神戸市生まれ。上智大学在学中の85、86年、川崎球場でグラウンドガールを務める。卒業後、ベースボール・マガジン社で野球誌編集記者。91年シーズン限りで退社し、フリーライターに。野球、サッカーなど各種スポーツのほか、旅行、教育、犬関係も執筆。著書に『母たちのプロ野球』(中央公論新社)、『野球酒場』(ベースボール・マガジン社)ほか。編集協力に野村克也著『野村克也からの手紙』(ベースボール・マガジン社)ほか。豪州プロ野球リーグABLの取材歴は20年を超え、昨季よりABL公認でABL Japan公式サイト(http://abl-japan.com)を運営中。

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