【YouTube企画】懐かしの助っ人外国人選手たち

元阪神ブラゼルの自宅を訪問&お宝紹介 佐藤輝に助言、打撃コーチにも意欲!?

丹羽政善

自宅地下室に飾られたお宝の数々

大好きな吉野家から贈られたマイどんぶり。トロフィーやサインボールと一緒に飾られている 【丹羽政善】

 まず、彼が吉野家の牛丼が大好きだったのはよく知られたエピソード。吉野家からマイどんぶりとマイ湯呑を贈られ、それをわざわざ日本から持ち帰りってさまざまなトロフィーやサインボールと一緒に飾っている。

「『何これ?』とよく聞かれるけど、自分にとっては日本での大事な思い出の品だから」

 ちなみに2010年の年明け、ブラゼルはこの年、阪神に入団したマット・マートンと一緒に来日すると、さっそく食事に誘い、吉野家へ連れて行ったそうだ。

布にくるまれて保管されていたイチローのサインボール 【丹羽政善】

 イチローのサインボールをもらったときには、すぐ近くにいた。

 12年3月、マリナーズ対アスレチックスの日本開幕戦が開催された際、マリナーズは直前に巨人、阪神とそれぞれ親善試合を行っている。そのとき、ブラゼルは打撃練習を始めたイチローのところへボールを持って歩み寄り、サインをもらった。

「これは、一生の記念だ」と話していたが、実際、大切に飾られていた。

お気に入り映画『ミスター・ベースボール』のポスターの前で。共感できることが多いという 【丹羽政善】

 映像の中に映画『ミスター・ベースボール』のポスターが映っているが、これは彼のお気に入りであり、外国人選手が日本の文化、日本野球に戸惑いながらも適応していくストーリーは自らの経験がオーバーラップするという。曰く、「我々にとってのバイブルだ」。

ピート・ローズのサインボール、ユニホームなどがあるが、それらはラスベガスでもらったものだ 【丹羽政善】

 ピート・ローズはラスベガスで定期的にサイン会を開いており、ボールやユニホームなどを買うと、それにサインをしてくれる。筆者も一度、イチローが日米通算ながら、ローズのメジャーリーグ通算安打記録(4256安打)を超えようとしているときに、ラスベガスへ飛び、ボールを購入してサインをしてもらう際にインタビューをさせてもらった。

お宝中のお宝。王貞治ソフトバンク会長のサインボール 【丹羽政善】

 他にも、テッド・ウィリアムズ、ジョー・ディマディオら名選手のサイン入り写真も飾られていたが、なかでも気に入っているのは、「王さんのサインボール」だとブラゼル。

「英語と漢字、両方でサインしてあるボールはあまりないはずだから」

 なお、玄関や家の外に飾ってある“トラ”は、阪神タイガースではなく、オーバーン大学のマスコット。彼の自宅から10〜15分ぐらいのところにある同大学はフットボール、バスケットボールの強豪校。ブラゼルはフットボールのシーズンチケットを持っていて、ホームゲームがあるときは家族総出で出かけるそうだ。

オーバーン大学フットボールのホームゲーム。スタジアムの最大収容人数は9万人近い。コロナ前は毎試合満員だった 【丹羽政善】

 野球も有名で、18年のドラフトでは全体1位でケーシー・マイズがデトロイト・タイガースから指名されている。こっちもタイガースかぶり。

和田さん、片岡さんから学んだことを生かしたい

かつてのチームメート、矢野燿大監督にエールを送る。打撃コーチのオファーは届くのか!? 【写真は共同】

 インタビューでは、いまも気にしているという阪神の状況や佐藤輝明の打撃などについても聞いた。矢野燿大監督は09年と10年にチームメート。矢野監督がケガをしていたことから、一緒に食事などに出かけたことなどはないそうだが、それでも「スマートな野球人だった」と述懐した。

 「野球のことも本当に詳しくて、“野球を知っている”という選手だった」

 佐藤については「始動が早い」と第一印象を口にしている。そして、「もっと左足に体重を乗せ、左中間へ打つ意識で」と指摘。なによりもこの一言が興味深かった。

「彼のスイングを見ていると、外国人選手のようだから外国人選手にするようなアドバイスが必要かもしれない」

 可能なら自分が指導してみたい――という含みがあったが、実のところ、「和田(豊)さん、片岡(篤史)さん(来季から中日二軍監督)らから学んだことを、生かしたいと考えている」そうだ。

 和田氏は09年と10年に打撃コーチとしてブラゼルを指導。12年から監督を努めた。片岡氏は10年から12年まで阪神打撃コーチ。ブラゼルは「彼らから日本人投手の配球について学び、さらに、金本(知憲)さんらの打撃練習を見ていて、思うところがあった」と振り返る。 

 藤川球児さんの引退で、もはや現役時代に一緒にプレーした選手はいなくなり、多くが指導者に。本人も興味があるようで、「打撃コーチでもインストラクターでも、声がかかれば行きたい」と意欲的だった。

 さて、ブラゼルは現役時代、セ・パ両リーグプレーしたことから、前田健太、ダルビッシュ有、田中将大、大谷翔平らとも対戦しているが、「顔を見るのも嫌だった投手は?」と聞くと、浅尾拓也(現中日二軍投手コーチ)の名を挙げている。

 その理由について、浅尾が出てくるような展開になると自分の打順が次にいつ回ってくるか計算し、七回なら「大丈夫、対戦しなくていい」とホッと胸をなでおろした――といったエピソードをYouTubeで明かした。

 他にも、日本を知らない下の2人の子どもたちに巨人対阪神の試合を見せてやりたいといった、日本への思いも語っているので、ぜひ、YouTubeをご覧いただきたい。

スポーツナビ公式YouTubeチャンネルでブラゼルがプロ野球の思い出を語る【後編】

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著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

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