「DAZN Jリーグ推進委員会」月間表彰

J1月間MVPは名古屋GKランゲラック「今季はキャリアの中でベストシーズン」

飯尾篤史

来日前にアドバイスをくれたケネディ

2010-11シーズンから5シーズンはドルトムントに所属。ユルゲン・クロップ監督の指導を受け、香川真司(右)とチームメートだった 【Getty Images】

――ヨーロッパ時代は、監督が代わるタイミングで新しいGKが加入し、苦い思いをされたようです。名古屋でタイプの異なるふたりの監督から信頼されてきたことも、パフォーマンスの安定につながっているのでは?

 おっしゃる通りです。ドルトムントでも、シュトゥットガルトでもポジションをつかみ、手応えを得た翌シーズンに新しいライバルが来たという経験があります。特にGKは、一番手、二番手、三番手と序列があって、二番手以降はなかなか試合に出られません。若い時期はどんどん挑まなければならないので、環境を変えたこともありました。グランパスではふたりの監督から信頼してもらえて、精神的に落ち着いてプレーすることができました。ただ、その分、責任が生まれてきます。期待に応えられるように、真剣にトレーニングに取り組んできたつもりですし、試合で十分なパフォーマンスが出せるように、しっかり準備して臨んでいます。どんな状況に置かれても、自身のレベルを上げるという目標を掲げれば、その努力は必ず未来につながっていくはずです。

――名古屋でのプレーも4年目を迎えました。当初、日本にこれほど長くいることになると想像していましたか?

 想像していませんでした。日本に来て、グランパスに来て、本当に良かったと思いますし、あらためていい決断をしたと感じています。サッカーと同時に、人生や日常生活も楽しんでいます。この街でふたりの子供も生まれましたからね。今シーズンは自分のキャリアの中でもベストシーズンだと思うんです。GKとしてハイレベルなパフォーマンスを披露できていることがうれしいですし、モチベーションをしっかり保ち、未来に向けてやっていきたいと思います。

――かつて名古屋でプレーした同胞のジョシュア・ケネディ選手に、来日前に相談していたそうですね。

 ジョシュアとはいろいろ話しました。彼はグランパスを気に入っていて、「グランパスでもっとプレーしたかった」と言っていました。そのうえで、キャリアにおいて必ずいい経験を積める。グランパスでプレーすることは重要なステップアップになると。そうアドバイスされたのは覚えています。

――やはり来日当初は、困難もあったのではないでしょうか?

 国によって文化や習慣の違いはもちろんありますが、オーストラリアを出て11年目になりますし、新しい環境に適応するコツはすでにヨーロッパ時代に身につけたので、それを日本にも当てはめればいいだけでした。例えば、水泳のコツを一度覚えてしまえば、プールでも海でも泳げるはずです。それと同じ感覚です。何より新しい環境では、新しいことを学べますし、こうしたチャレンジが私は好きですね。

――日本語で「右!」「左!」など指示を出されている動画が話題になりました。日本語はどれくらい理解できるのでしょうか? どれくらい話せますか?

 十分ではないですが、ある程度話せると思いますよ。ピッチ内で試合に関係する言葉は積極的に話すようにしていますが、日本語を公の場で披露するのは、ちょっと恥ずかしいんですよね。もっともっと話せるようにしたいと思います。

古橋は5分で素晴らしい選手だと分かった

リーグ戦は3位、ACL、YBCルヴァンカップ、天皇杯でも勝ち残り、“真の強者”に向けて正しい道を歩んでいるという 【(c)J.LEAGUE】

――スパッとヨーロッパから離れたり、オーストラリア代表から引退したり。そこにランゲラック選手の生き方、価値観が反映されているように感じます。

 人生において決めなければいけないことはたくさんあります。私は自分のことは自分で決めたいタイプです。オーストラリアを出たのは20、21歳の頃でしたが、ヨーロッパでもいろいろと決断してきました。ドルトムント時代も、シュトゥットガルト時代もそうでしたし、スペインにも行きました。これらはすべて私自身で決めたことで、要は待てないというか、直感に従って決断したことです。代表からの引退もそうですね。私は未来に対して心配していないというか、自分の直感に対して楽観的。どっしり構えて考えるのではなく、ピンと来たものに従って、突き進んでいく性格なんです。

――ドイツ誌のインタビューで「日本のサッカーは速い」と話していました。何がどう速いのか、もう少し具体的に聞かせてください。

 試合の展開も速いですし、選手のスピードも速いと感じます。日本人選手はテクニックがあって、敏しょう性もあって、素晴らしい選手が多い。試合もテンポが速くて、時間がどんどん進んでいきます。私のエージェントも試合を見て「展開が速い」「選手が速い」と言っています。

――プレーを急ぎすぎているというより、日本人の武器、Jリーグの魅力としてポジティブに捉えていいと。

 私はポジティブに捉えています。例を挙げると、この夏にセルティックに移籍してしまいましたが、ヴィッセル神戸にいた古橋(亨梧)選手。彼は対戦して5分で素晴らしい選手だと感じました。テクニックがあって、とても速い。ヨーロッパで「ストーム(嵐のように速い)」と呼ばれる典型的な選手だと思います。古橋選手以外にも、いい選手がゴロゴロいますし、ヨーロッパで活躍してもおかしくないと感じる若手もたくさんいます。海外の方がJリーグを見たら、きっと驚くと思いますよ。それだけJリーグは速くて、魅力的だということです。

――現在のグランパスが“真の強者”になるために、必要なものは何でしょうか?

 難しい質問ですね(笑)。それが分かっていれば即答できるんでしょうけど、分かっていないから、どのチームも模索するんだと思います。ただ、我々がいいプロセスをたどっているのは確かだと思いますから、アジアのタイトルやリーグタイトルを獲るためには、今やっていることをさらに突き詰めることが大事でしょうね。もっともっとやらないといけない。我々は本当に旅の途中だと思っています。

――最後も難しい質問ですが、来週の10月12日、カタールワールドカップ・アジア最終予選でオーストラリア代表と日本代表が戦います。ずばり予想は?

 難しいタフなゲームになると思います。日本代表もいいチームですが、今のオーストラリア代表もタレントがそろっていますから、最終的には2-0くらいでオーストラリアが勝つのではないかな、と思います。

(企画・構成:YOJI-GEN)

2/2ページ

著者プロフィール

飯尾篤史

東京都生まれ。明治大学を卒業後、編集プロダクションを経て、日本スポーツ企画出版社に入社し、「週刊サッカーダイジェスト」編集部に配属。2012年からフリーランスに転身し、国内外のサッカーシーンを取材する。著書に『黄金の1年 一流Jリーガー19人が明かす分岐点』(ソル・メディア)、『残心 Jリーガー中村憲剛の挑戦と挫折の1700日』(講談社)、構成として岡崎慎司『未到 奇跡の一年』(KKベストセラーズ)などがある。

関連リンク

※リンク先はすべて外部サイトになります

編集部ピックアップ

おすすめ記事(スポーツナビDo)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント