日本バドミントン界は一丸となれるか パリ五輪へ…待ち受ける険しい道
日本バドミントン界が抱える歪みの影響は…
フクヒロペアは負傷を抱えながら奮闘したが、準々決勝敗退。今後、日本バドミントン界が一丸となった強化が求められる 【写真は共同】
古くからチームを持ち、日本代表の主力を抱えてきた企業は、協会にとってはかけがえのない存在だ。彼らの支えがなければ、代表選手が生活や収入の不安なく活動することは難しい。しかし、そこに頼り続けて協会が主導権を握って動けないようでは、時代の変化に対応できない。まして、コロナ禍のような難しい状況下でスピーディーに的確な対処をすることは難しい。
海外で結果を残してきた日本代表が、なぜ自国開催の五輪でプレッシャーに押しつぶされたのか。日本バドミントン界が抱える歪(ゆが)みは、今大会の代表チームの不調に何も影響しなかっただろうか。直接的には関係ない。しかし、選手がコート上のパフォーマンスだけでなく、コート外での生活でも品行方正を求められるのは、そこでの隙がコート上に影響すると考えられているからだ。同じように、日本バドミントン界全体が問題を抱えれば、その歪みは現場に影響する可能性を持ち得る。代表チームをサポートする立場も含めて、洗い直す必要があるだろう。
何しろ、ここから先の道は険しい。日本バドミントン協会は、朴HCとの契約を25年3月まで延長している。朴HCは「ハングリーな気持ちに切り替えて、もう1回。ここまで来たから、もう1回。反省会をして、パリに向けて挑戦します」と24年パリ五輪での雪辱を宣言した。ただし、東京五輪が1年延期したため、次のパリ五輪までは4年でなく3年と期間が短い。その上、コロナ禍がどの程度のペースで収束するかの見込みが立っていない状況では、再強化のスタートが鈍くなる可能性が高い。
BWF(世界バドミントン連盟)は、各大会のスケジュールを発表しているが、20年10月から国際大会が開催されるようになった後も、五輪レースが結局再開しなかったように、開催国や参加国の足並みがそろわない可能性もあり、見通しは不透明だ。継続的な代表活動や実戦で世界のライバルと戦い続けて強化することは、難しいだろう。
別の課題もある。リオデジャネイロ五輪の16年は、銅メダルの奥原が21歳(出場しなかったが最高世界ランク2位だった桃田は同期)、同じ種目で8強の山口が19歳。若くして世界のトップに食い込む活躍を見せていた彼女らのここまでの躍進は、ある程度計算できるものだった。しかし、今回は山口と、混合ダブルスで銅メダルを獲得した渡辺/東野がかろうじて20代前半。次世代の突き上げも生み出さなければならない。これまでは、リオで金メダルを獲得した女子ダブルスの高橋/松友が現役を続けたことで、注目を得られただけでなく、今大会に出場した福島/廣田、松本/永原の底上げに貢献した面があるが、今回は金メダル効果もない。その中で、雪辱に向けた準備を行わなくてはならないのだ。
現場はもちろん、プレッシャーに負けない準備の再考が必要だ。ただ、それだけではおそらく、今後の困難を乗り越えるには不十分。来年に東京開催の世界選手権があるが、短期ではなく長期で24年を見越した強化を、日本バドミントン界が一丸となって目指せるかどうか。現場だけにとどまらない見直しが必要だ。