なでしこジャパンのキャプテン熊谷紗希は楽しみながら東京五輪で金メダルを獲る!

早草紀子

みんなでプラスアルファを持ち寄れば

ロンドン五輪の銀メダルを知る岩渕(前列左)とともに若いチームをまとめ、自国開催の今大会では念願の金メダルをつかみ取りたい 【写真は共同】

──今回の合流で気になる選手はいますか?

 オリンピックを前にしたこのタイミングで、結構多くの選手が海外移籍しましたよね。もちろん、半年という短い期間で大きく変わるのは難しいですけど、何を持って帰ってくるのかなっていう楽しみはあります。いろいろと話を聞いてみたいですね。そうやって、みんなでプラスアルファを持ち寄れば、チームにも絶対に良い影響を与えられるはずですから。

──今回のオリンピックで、1つでも多く勝利を重ねるためのポイントは、どこにあると思いますか?

 個人的には、これまで海外でやってきた経験を生かしながら、持ち味である球際の強さはしっかりと見せたいですね。こうした世界大会では、失点の少ないチームが優勝するケースが多い。パスをつなぐ自分たちらしいサッカーを目指しながらも、それを実現するには、まずはボールを奪わないと始まりませんから。例えば、誰かをサポートするために走ったことでボールを奪えたり、そうやってチームとして小さな成功を積み重ねていけば、私たちにも必ずチャンスはあると思っています。

──では、最後にあらためて、東京オリンピックへの意気込みを聞かせてください。

 東京でオリンピックが開催されるのは、私たちにとってとても大きなことなんです。日本の蒸し暑さもアドバンテージにしながら、自国開催のプレッシャー――私自身はあんまり感じていないんですが(笑)――も含めて、いろいろな重圧をすべて楽しみに変えていきたいです。世の中はいろいろと難しい状況にありますが、選手としては最大限の準備をするだけ。こんな機会は本当にないと思うので、東京オリンピックでサッカーができることを楽しみながら、そして勝ちたいなと。自分ができることはすべてやって、最後に金メダルを獲れるように頑張ります!
* * *

 現在のなでしこジャパンで、オリンピックの大舞台を知る選手は数少ない。熊谷のチーム合流は、若い選手たちにとって非常に心強いに違いない。

 6月の2連戦から大会本番までは、各所属クラブの協力を得て、集中的に追い込みができるよう、長期間の強化合宿が組まれている。そこで熊谷や岩渕真奈といったベテラン勢がどのように若いチームをまとめ、導いていくのか。東京五輪でなでしこジャパンが飛躍を遂げられるかどうかは、ここからの1カ月半に懸かっている。
熊谷紗希(くまがい・さき)
1990年10月17日生まれ、北海道出身。常盤木学園高で全日本女子ユース3連覇を果たし、2009年に浦和レッドダイヤモンズ・レディースに加入。1年目から主にボランチとして全試合に出場し、リーグ優勝に貢献する。11年にドイツのフランクフルト、13年にフランスの強豪リヨンへ移籍。15-16シーズンのUEFA女子チャンピオンズリーグ(UWCL)ではリヨンの4シーズンぶり3度目の優勝に尽力。このシーズンは国内リーグと国内カップ戦も制し、3冠を達成する。以降、UWCLは19-20シーズンまで5連覇を成し遂げたが、今季限りでリヨンを退団。来季からのバイエルン・ミュンヘン移籍を発表した。日本代表には高校時代の08年3月に初選出。11年のFIFA女子W杯では、センターバックのレギュラーとして全試合にフル出場し、チームを初の世界王者へと導いた。翌年のロンドン五輪では銀メダルを獲得。高倉体制となった17年から、なでしこジャパンの主将を務める。173センチ・62キロ。

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著者プロフィール

東京工芸短大写真技術科卒業。1993年よりJリーグ撮影を開始。1996年から日本女子サッカーリーグのオフィシャルカメラマンとなる。以降、サッカー専門誌で培った経験を武器に、サッカー撮影にどっぷり浸かる。現在はJリーグ・大宮アルディージャのオフィシャルフォトブラファーであり、日本サッカー協会オフィシャルウェブサイトでは女子サッカー連載コラムを担当している

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